1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06839026
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
福地 光男 国立極地研究所, 南極圏環境モニタリング研究センター, 教授 (80099936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 栄 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 助手 (40221931)
谷村 篤 国立極地研究所, 研究系, 助手 (10125213)
渡辺 研太郎 国立極地研究所, 資料系, 助教授 (30132715)
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Keywords | 海氷 / 生物群集 / 自動観測係留システム / サロマ湖 / 生産過程 |
Research Abstract |
本研究では自動観測係留システムを使用し、海氷形成期から融氷期までの海氷中及び海氷下の生物生産過程の時間的変遷過程を詳細に測定し、海氷の存在が海洋生態系に及ぼす作用およびそれに対する生物応答現象を求めることを目指した。本年度は、まず研究初年度晩秋にサロマ湖の水深15mに設置した自動観測係留システムを、融氷直後に回収し、記録データの取得を行なった。システムは約2カ月間にわたって動作していたことが確認できたものの、計測途中に水中ケーブルからの浸水のため、環境データに多大なノイズが認められた。また、電池の自然放電特性とデータ記録装置部に長期係留を実現するためには弱点があることが判明した。この結果を1995年秋季海洋学会(名古屋)で報告するとともに、弱点の改善を行ない、さらに離れた場所から(海上及び海氷上)動作確認とデータ通信が出来るように音響通信装置を組み込んで、1995年11月下旬に昨年度と同一地点に再係留を行った。海氷が発達し安定した2月下旬に海氷上から係留地点へアプローチして音響通信装置を用いて動作及びデータの記録状況を確認したところ、12月上旬から2月下旬までは計画どおりに動作し、異常なく記録していたことが確認された。この装置は4月中旬まで連続記録と動作を行う予定であり、装置回収後のデータの取得と解析による知見の集積が期待される。係留実験と同時に実施したサロマ湖の海氷上からの現場観測と実験研究に関しては前年度に実施した野外研究による海氷環境中の温度・塩分・栄養の時系列的変動とアイスアルジ-群集量の動態特性が解析されつつあり、この成果の一部を第18回極域生物シンポジウム(12月、東京)、第11回北方圏国際シンポジウム(2月、紋別)、及びInternational Workshop on the Okhotsk Sea and the Arctic (3月、東京)で公表を行った。本年度はさらにこの知見の普遍性を確認するため同様の野外研究を2月から3月に実施したのに加え、海氷生態系の生物量組成・光に対する応答・動物プランクトンの摂餌と呼吸の応答を調べ、現在解析を進めている。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 鈴木英勝 他: "夏季の南極海氷縁における沈降粒子フラックスの変動" 第18回極域生物シンポジウム講演要旨集. 50 (1995)
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[Publications] 渡辺研太郎 他: "昭和基地沿岸定着氷下における沈降粒状物の季節変化" 第18回極域生物シンポジウム講演要旨集. 51 (1995)
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[Publications] 工藤 栄 他: "サロマ湖の季節海氷環境とアイスアルジ-群集量の変動について" 第11回オホーツク海と流氷に関する国際シンポジウム講演要旨集. 262 (1996)
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[Publications] 福地光男 他: "北海道サロマ湖における自動海洋観測の試み" 第11回オホーツク海と流氷に関する国際シンポジウム講演要旨集. 263 (1996)
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[Publications] 渡辺研太郎 他: "1994年南極沿岸定着氷域でのフラックス観測" 第11回オホーツク海と流氷に関する国際シンポジウム講演要旨集. 283 (1996)
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[Publications] 谷村 篤 他: "昭和基地周辺定着氷下における小型かいあし類の日周鉛直移動" 第11回オホーツク海と流氷に関する国際シンポジウム講演要旨集. 284 (1996)
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[Publications] 工藤 栄 他: "南極海で観測されたクロロフィル蛍光値の日周変動" 第11回オホーツク海と流氷に関する国際シンポジウム講演要旨集. 285 (1996)
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[Publications] 石丸 隆 他: "自動昇降式海洋観測システムの開発-II" 1995年度日本海洋学会秋季大会講演要旨集. 268-269 (1995)
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[Publications] 工藤 栄 他: "自動昇降装置を用いた冬季海氷発達期の海洋観測" 1995年度日本海洋学会秋季大会講演要旨集. 270 (1995)
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[Publications] 工藤 栄 他: "海氷生態系-サロマ湖に冬季に発達する季節海氷生態系を例に-" 海洋と生物 102. 18(1). 21-27 (1996)