1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06854016
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
藤本 雅文 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (30261176)
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Keywords | 結晶の平衡形 / 対称双二次形式 / 楕円関数 / ウルフの定理 / 転送行列 / シフトオペレータ / 補助バ-テックス / モンテカルロシュミレーション |
Research Abstract |
臨界点以下で、ある単一相の中に体積(面積)一定の条件の下、他の相を共存させた時の界面の最も安定な形を平衡形という。平衡形は、界面張力の方位依存性からウルフの作図法を用いて導かれる他、相関距離と界面張力の間の逆比例関係を用いて、相関距離の方位依存性から導出する事もできる。 これら方位依存性の計算は、二次元可解格子模型の厳密計算において、未解決の問題であったが、本研究では、通常の転送行列法にシフトオペレータを導入した新しい方法を提案、方位依存性及び平衡形の一般的な解析方法を完成させる事に成功した。実際平衡形の厳密計算を行った結果、様々な可解模型一律に、ある種の代数曲線が現れる事を発見、この事実について更に踏込んだ研究を行っている。 これら代数曲線は、可解模型の枠を超えより広い範囲の(解けない)模型についても現れる可能性が示唆でき、本年度は特にポッツ模型について平衡形の導出を行った。ポッツ模型は状態数が2の時にイジング模型と同等になる他、状態数が3以上でも転移点直上で可解模型となる。更に、状態数が5以上では転移は一次転移であり、転移点直上でも平衡形が定義できる。先ず、これら転移点での平衡形の厳密解析を行い、平衡形が上述代数曲線になる事を示した。状態数が3の場合であれば、転移点以外での厳密計算はできないが、モンテカルロシュミレーションによる平衡形の決定を行った。界面の揺らぎをシュミレーションし、これから間接的に平衡形の評価する方法を用いたが、この方法ではこれまでの方法とは異なり、定性的なものに止まらず、定量的評価を行うに十分な精度を得る事ができる。結果、上述代数曲線の存在を強く支持する結果を得た(投稿準備中)。これらの結果をふまえ、この代数曲線と一点関数(秩序変数)の表示の関係等を調べる研究が、現在進行中である。 以上の研究は、正方格子上の模型に関してであったが、三角格子、蜂の巣格子、籠目格子上の模型についても解析を行った。厳密計算に関して、シフトオペレータの方法を更に一般化した補助バ-テックスの方法を導き、専門誌に発表した。平衡形の厳密計算を行った結果、正方格子上のものと同種の代数曲線を得た(投稿準備中)。現在、これらの格子上解けない模型に関するモンテカルロシュミレーションを計画中。
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[Publications] Masafumi Fujimoto: "Spatial Anisotropy and Rotational Invariance of Critical Hard Squares" Journal of Physics A:Mathematical and General. 27. 5101-5119 (1994)
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[Publications] 藤本 雅文: "可解格子模型から見た結晶の平衡形" 固体物理. 29. 633-639 (1994)