1994 Fiscal Year Annual Research Report
超純水中に生育する微生物のラジオトレーサを用いた挙動追跡と分析科学への応用
Project/Area Number |
06854043
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小林 貴之 北里大学, 理学部, 助手 (50245396)
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Keywords | 微生物 / 超純水 / アイソト-ブ標識 |
Research Abstract |
本研究の目的は超純水中の菌の標識の実用性について検討し、新しい超純水中の菌数の測定法として確立させ、この手法を用いて次の2つの応用テーマについて検討することであった。ひとつはラジオトレーサに特有な現象であるがその原因についてははっきりしていないラジオコロイドの生成についての知見を得ること。また菌はラジオトレーサとして加えている元素以外にも当然栄養源としての他の元素を菌中に濃縮していると考えられているので菌中の微量元素を感度良く測定し超純水中の微量存在元素についての知見を得ることであった。 これらの目的を達成するため本年度は次のような実験を行ないデータを得た。 超純水に^<32>P,^<35>S,^<42>K放射性同位元素を添加し恒温槽で保存し、毎日これを0.2μmのフィルターで濾過し微生物を捕集、フィルターの放射線を測定した。この結果3つの核種のうち^<32>Pがもっともよく微生物取り込まれることが判明し、かつ30℃の状態が一番よく微生物が成育することがわかった。同時に滅菌水を用いて菌が繁殖しないことを確認し、いままで栄養源がないため微生物が成育しないと考えられていた超純水中で微生物が成育することが確認できた。 また、この菌を定性したところシュードモナス属であることがわかり、一般的な菌数測定方法の培養法と本方法を用いた菌数の比較の結果よい一致を得、本法が簡便な微生物数定量法として用いられることがわかった。 本法で菌の最大比放射能が0.64Bq/匹になることがわかり、本方法を用いれば計算上3匹程度の菌の挙動について調べられることが可能であることが示唆された。また本法でラジオアイソトープ標識微生物を得ることが可能であり、これらの菌を用いて半導体ウェハ-洗浄時の微生物の影響評価を行なうことができた。今後当初の目的であったラジオコロイドの生成と超純水中の微量存在元素についての研究を行なう予定である。
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