1994 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子井戸構造中のサブバンド間結合によるバンド間遷移電気感受率の制御
Project/Area Number |
06855004
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 豊 山形大学, 工学部, 講師 (00260456)
|
Keywords | 半導体量子井戸 / 非線形光学 / 光制御 / サブバンド間遷移 / 非線形感受率 / 和周波発生 |
Research Abstract |
本年度は理論的モデルの構築を行ないサブバンド間結合により電気感受率がどのように制御されうるかを様々な量子井戸構造および材料系に想定して数値計算を行なった。計算は様々なド-ピング濃度およびバンド間エネルギー、サブバンド間エネルギーに対して行なわれた。電気感受率はこれらのパラメータに対して強く依存し実際の測定に際してはサンプル構造を注意深く選択することが重要であることが判明した。また非対称構造の量子井戸系では3次のみならず2次の非線形光学効果の寄与も重要であることが示され、和周波発生のような現象も起きることが示唆された。非線形電気感受率はキャリアーの緩和時間に対しても依存することがわかったが、現在のモデルではこの緩和時間は現象論的の導入されたものであるためその物理的意味を理解するためにはより現実的なモデルが必要とされるようである。また現在のモデルはすべて定常励起を仮定しているが、この系が短パルス励起に対してどのような過渡応答現象を示すかは物理的に興味深いと共に、測定がパルス光源を用いて行なわれるという点からも重要である。今後の理論的研究は過渡応答現象と、より詳細な半導体量子井戸系のモデル化に重点を置く予定である。 これら理論的研究と平行して測定装置の準備とサンプルの評価を始めた。基礎的な光学測定が出来る状態に持って来ており、これを使って材料の評価を行なっている。材料系としてはInGaAs/AlAs系が井戸と障壁のバンドギャップの差が大きくサブバンド間のエネルギー差を大きく取れて実験上好都合である歪み系であるため成長が難しいようである。今後の実験にとって設計通りのサンプル構造に成長できているかは極めて重要であるので現在発光、バンド間・サブバンド間吸収の測定を行ない井戸構造の評価を進めている。
|
Research Products
(1 results)