1994 Fiscal Year Annual Research Report
放電プラズマ法を用いた短繊維複合延セラミックスの設計・合成・評価に関する研究
Project/Area Number |
06855011
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋田 俊之 東北大学, 工学部, 助教授 (40180814)
|
Keywords | 複合材料 / 短繊維 / マルチプルクラック / ひずみ硬化挙動 / 材料設計モデル / マイクロメカニックス / セラミック / 金属間化合物 |
Research Abstract |
本研究の目的は、セラミックス系短繊維複合材料を対象に、マイクロメカニックスモデルに基づく材料開発を実施し、マルチプルクラックひずみ硬化特性を有する高靭性セラミックスを創製することである。 1.繊維ブリッジング応力-き裂開口変位の関係に基礎を置く短繊維強化材料設計モデルを構成した。モデルは繊維(寸法,体積含有率,弾性係数),マトリックス(破壊靭性,弾性係数)および界面強度の各パラメータを考慮している。これによりマルチプルクラックの発生条件、ひずみ硬化型材料の応力-ひずみ挙動を推定するモデルを提案した。 2.放電プラズマ法により、以下の4種のセラミックスを燒結した結果、50MPaの加圧力、5minの加熱時間でSiCでは1800℃、ZrO_2,Al_2O_3,Si_3N_4では1600℃の温度で、いずれも燒結助剤を添加することなく、理論密度100%の緻密な固化体を得た。固化体の高温強度評価をスモ-ルパンチ試験法により実施した結果、通常のホットプレス法による燒結で作成した固化体よりも耐熱性に優れていることを見いだした。1500℃で最大2倍程度の強度を保持している。これにより、燒結助剤無添加の高温強度特性に優れたセラミックスの迅速な合成ルートを開発した。 3.金属間化合物繊維の合成を目的に、Ni_3Alの放電プラズマ燒結実験を実施した結果、50MPaの加圧力、10minの加熱時間、1850℃の温度で緻密な固化体を得た。3点曲げ試験により、室温においても延性挙動を呈することを確認し、上記2で作成したセラミックスをマトリックス、本金属間化合物を繊維として複合化できる見通しを得た。今後、設計モデルを基礎に、さらに金属間化合物繊維複合セラミックス材料の完成を目指す。 4.1に記した材料設計モデルの妥当性を検討するために、化学的セラミックの代表例であるケイ酸カルシウム(ゾノトライト)複合材料を水熱ホットプレス低温合成法で製作した。用いた繊維はポリエチレン(アスペクト比:500)である。体積含有率0.7%でマルチプルクラックを誘起することができ、ひずみ硬化型高靭性材料の開発に成功するとともに、構成したモデルの予測と調和的であることを確認した。 本研究により、マルチプルクラックひずみ硬化型高靭性複合材料の設計モデルが開発できたといえる。
|
-
[Publications] T.Hashida,V.C.Li and H.Takahashi: "New Development of the J-Based Fracture Testing Technique for Ceramic Matrix Composites" Journal of the American Ceramics Society. 77. 1553-1561 (1994)
-
[Publications] 高橋 秀明、橋田 俊之: "熱応力と耐熱衝撃性" セラミックス. 29. 603-610 (1994)
-
[Publications] 中根祐司、佐藤一志、高橋秀明、山崎仲道、橋田俊之: "水熱ホットプレス法によるコンクリート廃材の固化体合成技術の開発と評価に関する研究" セラミック. 102. 405-107 (1994)
-
[Publications] 中根祐司、橋田俊之、高橋秀明、山崎仲道: "水熱ホットプレス法を用いた廃コンクリート固化体のフレッシュセメント添加による高強度化" セラミック. 103(印刷中). (1995)
-
[Publications] S.Ohmi,M.Ohgoshi,T.Hashida,and H.Takahashi: "Thermal Fracture Evaluation of Foam Glass Panels by Lamp/AE Method" Progress in Acoustic Emission VII. 7. 277-281 (1994)
-
[Publications] H.D.Jeong,Y.G.Kweon,T.Hashida,H.Takahashi,and S.Ohmi: "Evaluation of Fracture Toughness and Micro-Fracture Mechanism of Porous Glass Composite by Using Acoustic Emission" Progress in Acoustic Emission VII. 7. 451-456 (1994)