1994 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波集積回路パッケージの時間領域を含む3次元電磁界解析法に関する研究
Project/Area Number |
06855039
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
李 可人 電気通信大学, 電気通信学部, 講師 (20240400)
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Keywords | マイクロ波集積回路 / 時間領域解析 / 3次元電磁界解析 / グリーン関数 |
Research Abstract |
本研究者は平成6年度に任意多層化構造におけるグリーン関数の一般解析解を発見した。この解析解は多層化構造の解析の一つの突破口として大きな意味を持つと考えられる。この解をさらに3次元に拡張した研究結果は、電子情報通信学会1995年春季全国大会(福岡、1995年3月)にて「任意多層誘電体開放構造における三次元静電グリーン関数の一般解析解」と題して発表する。3次元に拡張することによって、より一般的なマイクロ波集積回路パッケージ解析への適用性が見出された。 時間を含むグリーン関数及びその表現方法についても考察を行なった。均一媒質において、時間を含むグリーン関数は静電グリーン関数とまったく同じ形で表せることがわかっている。マイクロ波回路パッケージのように導体で囲む場合は、影像電荷、或は影像電流によって表すことができる。その時、均一媒質であれば、影像は普通の静電影像法と同じプロセスで求められ、その影像のグリーン関数を用いて、境界積分方程式を解けば、電磁界の三次元空間と時間における振舞いが解析できる。問題は非均一媒質構造である。本研究では、上記の多層構造グリーン関数の一般解析解に対し、Prony法と複素数影像電荷の概念を導入することにより、グリーン関数を均一媒質中と同じ簡単な形で表現することができた。このようなグリーン関数を用いると、境界積分方程式が容易に離散化でき、解析が単純になると共に、数値計算効率が大きく改善できる。本研究者は既にProny法を用いた3次元多層化線路の解析に成功している。時間領域においても、Prony法の適用は可能と考えられる。しかし、不均一媒質の場合、複素数影像の複素数距離の物理的意味が問われる。また、不均一媒質における影像電荷の時間の因果律への対応がまだ不明確である。これらの問題の解明は今後の課題として残るが、新しい概念と解析手法が確立されれば、マイクロ波集積回路等の電磁界解析に大きな進歩をもたらすことになろう。
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