1994 Fiscal Year Annual Research Report
思考脳波とカオス解析による大脳高次機能情報処理過程解明の基礎的検討
Project/Area Number |
06855052
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Research Institution | Hokkaido Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 政司 北海道工業大学, 工学部, 助教授 (40210421)
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Keywords | 事象関連脳波 / 思考時脳波 / 逐次差分法 / 計算 / 記憶想起 / トポグラフ / カオス解析 |
Research Abstract |
まず、健康な22歳の男性を被験者として、思考に際して重要な役割を行う記憶想起に関して、逐次差分法を用いて事象関連脳波を解析し、検討を行った。提示課題としては、3ビットの2進数は10進数ではいくつになるかを作業課題条件とした。計測された記憶想起課題関連脳波をトポグラフ表示した結果、記憶想起課題では、前頭前野を中心に負電位として脳波が現われている傾向が見られた。しかし、この課題条件では被験者によっては刺激数値の3ビットの2進数を一旦計算してしまっている者も見られ、厳密な意味では計算課題との心理作業において分離ができていないものと考えられる。したがって、他の条件を用いて記憶を想起させる適切な刺激条件を考案する必要がある。そこで、化学元素記号を提示して、その化学元素を想起させる課題を用いて同様に実験および解析を行った。トポグラフの解析によって解析した結果、記憶想起関連脳波は上記3ビットの2進数を10進数で想起する課題と同様に、前頭前野を中心に現われている傾向が見られた。 次に、認知などの基本的な機能よりさらに高次の機能である論理数学的知性について調べた。被験者に二桁と一桁の数式を提示し、逐次差分法を用いて被験者が暗算を行っている場合の計算関連脳波を計測し、検討を行った。その結果、P300はほぼ頭頂部中央および右側頭頂部を中心に正電位として発生する傾向が見られるのに対し、暗算課題ではF4を中心とした左側前頭頂部から左側頭頂部に計算脳波成分が現われる傾向が見られた。 最後に、被験者が暗算を行っているときの脳波を取得し、カオス解析を行った。解析例が少ないので明確ではないが、暗算を行うことで脳波のアトラクタは平静状態から変形し、積分相関曲線では傾斜に特徴が現われた。さらに微分相関曲線による解析でそのことが明確に示された。この特徴が頭部のどの部分で強く示されるかの検討は今後の課題である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masaji Yamashita: "The analysis of event-related patentials elicited during calculation task using the sezuential differevce method" A dvanced Technologies in I&M. 2. 986-989 (1994)
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[Publications] 山下 政司: "逐次差分法による計算課題関連脳波の解析" 医用電子と生体工学. 32. 241 (1994)