1994 Fiscal Year Annual Research Report
描画心理検査を適用した家族のだんらん像の分析と住居内集まり空間の計画再考
Project/Area Number |
06855068
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Research Institution | Kurume Institute of Technology |
Principal Investigator |
益田 信也 久留米工業大学, 工学部・建設設備工学科, 講師 (60190360)
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Keywords | だんらん像 / 描画心理検査 / 動的家族描画法 / 住居内集まり空間 / 空間認知 / 空間知覚 / 生活習慣 |
Research Abstract |
本研究は、描画心理検査「動的家族描画法」を適用して、家族に住居の集まり空間とだんらん生活がどのように意識されているか、そのだんらん像と形成要因を明らかにすることを目的としている。 「あなたの家族のみんなについて、住宅内で何かしているところを絵に描いてください」という教示の描画検査を、大学・短大生102例(有効数、父親11、母親23、子ども115)で集団・個別施行を行い、併せて、住宅平面の実測・住まい方・一日断面の生活時間調査を行い、分析を行った結果、以下のような知見を得た。 1.描画の特徴をみると、成員が全員同じ部屋4割、一部異なる部屋3割、全員異なる部屋3割で、同じ部屋はLとDがほとんどである。成員別で特徴的なことは、父親は全員で食事行為か、全員別々の部屋・行為を描く傾向が強いのに対し、母親は全員同じ場所・同じ行為を描く傾向が強いこと、子どもは行為・位置に関して成員の区別が比較的明瞭なのに対し、親は子どもの区別があいまいなことである。また、世帯ごとの成員間の相違では、描画は概ね成員間で同様の傾向を示し、対局的な描画は2割にすぎない。家族成員で描かれるだんらん像が異なるものの、生活実態、特に一日の生活の流れにおけるだんらんの時間帯の習慣による影響が大きい。 2.住宅プランとの関連では、空間の規模や家具類・設備の充実したLやDに家族の豊かな行為の種類が描かれ、逆に、これが貧困な場合は限定的な行為が、さらに、個室が相対的に充実した場合は、個室での行為の描画が多くなるなど、特定の部屋の空間的充実を反映した描画の傾向がみられる。また、描画の中の成員の位置・行為関係は、部屋間の分節・連続の空間形態をよく反映しているが、全員異なる部屋・行為を描いている場合は、住宅プランとの関係はあまりみられない。
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