1994 Fiscal Year Annual Research Report
超音波断層法による水産生物の生理と形態の無侵襲計測法の開発
Project/Area Number |
06856023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清野 聡子 東京大学, 教養学部, 助手 (80251320)
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Keywords | 超音波断層法 / 雌雄判別 / 無侵襲計測 / 頭正類 / スケソウダラ / ペンギン / 形態計測 |
Research Abstract |
超音波断層法の水産の現場での応用を目的として研究を行なった。主な成果は以下の通り。 1)無侵襲的雌雄判別法としての利用 雌雄が外部形態では判別不能な魚種を、水産業の現場で高精度、高能率で判別するための方法としての本法の利用。北海道大学水産学部臼尻実験所にてスケソウダラの雌雄判別を行なった。その結果は、成熟した個体に対しては卵巣/精巣の外部からの視覚的判別、透視が可能だった。雌雄ともに精度100%で、観察者が短時間の学習でリアルタイムに利用可能なことが分かった。さらに、市場価値が高いマダラでも同様の成功を収めた。よって、本法は、魚市場などの商業施設や研究機関で利用され得る将来性があり、水産専用機が充分開発価値があることが証明された。(水産学会で発表予定,1995.4) 2)無侵襲的診断法としての利用 飼育下にある水生産物の生理状態を把握するための方法としての有効性の実験を行なった。東京都葛西臨海水族園の協力を得て、海鳥の健康診断への応用実験を行なった。その結果、フンボルトペンギンの成鳥では羽毛や皮膚の反射が大きく不可能だったが、巣立ち前の幼鳥については心臓、肝臓などの診断が可能であることがわかった。そのため、水族館や養殖場での利用推進を、同施設の担当者と検討中である。(国立極地研究所シンポジウムで発表,1994.12) 3)水中の運動の計測法としての利用 フェアリ-ペンギンを用いて、遊泳時の翼の角度変化の計測を行なった。水中で運動する物体の計測法としての有効性を示した(海洋学会で発表予定,1995.4)。 4)体内器官の可視化法としての利用 ミズダコの口球の運動、口、消化管から胃への餌の移動の可視化を行なえた。体外からは摂餌器官が観察不能だったので、新知見を得た(海洋学会で発表予定,1995.4)。
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