1994 Fiscal Year Annual Research Report
16SrRNA塩基配列に基づく低酸性飲料缶詰変敗原因菌の迅速検出に関する研究
Project/Area Number |
06856026
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 浩司 北海道大学, 水産学部, 助手 (40250500)
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Keywords | 16SrRNA / 16SrDNA / Alicyclobacillus / PCR / 迅速検出 / 系統的分類 / 低酸性飲料 |
Research Abstract |
低酸性飲料変敗原因菌の迅速検出法を確立するために,まず変敗飲料缶詰から変敗原因菌の分離を試みた結果,至適発育pHが4.0-4.5にあり中性付近では発育できない好酸性菌が新たに分離でき,Bergey's manual of systematic bacteriologyに準拠して同定するとBacillus属に分類された。しかしながら種レベルまで性状が一致するものの記載が認められなかったため,これら細菌の16SリボゾームRNA(rRNA)塩基配列をおよそ1500塩基決定し,DDBJ登録されている類縁菌種の16SrDNA塩基配列と比較した結果,Alicyclobacillus acidoterrestrisと92.5-93.0%,A.acidocardariusと92.3-92.8%のホモロジーを示し,これらの結果から本分離株はいずれもAlicyclobacillus属に分類されたが,種名までは明らかにできなかった。また本分離株とその類縁菌種との系統的関係を,近隣接続法(NJ法)を用いて推定した結果,Alicyclobacillus属と系統的に非常に近い関係にあったが,いずれの分離菌株ともこれまで報告されているAlicyclobacillus属とは異なるクラスターを形成した。これらのことから,本分離菌株が新種の可能性を有していると考えられた。 次に,低酸性飲料変敗原因菌の16SrRNA塩基配列から,迅速検出用プライマー部位を2カ所選定(190Fおよび490R)し,それらの特異性および感度について検討した。その結果,これらプライマーは非常に高い特異性を有しており,また少なくとも100agのDNAが存在すれば検出可能の範囲であることが確認できた。さらに現在,従来法とPCR法を用いた本手法との比較を行っており,平成6年度当初の計画はほぼ達成されたと考えている。
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