1994 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖因子及び接着因子の動態を指標とする損傷の微視的・系統的解析
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06857031
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
権 稔和 金沢大学, 医学部, 助手 (70251923)
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Keywords | 法医病理学 / 損傷検査 / 生活反応 / 受傷後経過時間 / インターロイキン1β / 腫瘍壊死因子 |
Research Abstract |
法医学実務上,損傷検査の重要性は周知のとおりであり,特に,生前の損傷か死後のものかの鑑別を含めた受傷後経過時間の判定は極めて重要である.陳旧度の異なる損傷を実験的に作成し,コラーゲンやフィブロネクチン等の細胞外マトリックス,並びに炎症性サイトカインの一種であるインターロイキン1(Interleukin1,IL-1),特にLI-1αの損傷治癒過程における動態を免疫組織化学的に検索し,受傷後経過時間判定ための有用な指標となることを報告してきた.そこで,LI-1α以外の炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor α,TNFα)並びにLI-1βについても同様に免疫組織化学的に検索し,損傷の受傷後経過時間判定における有用性を検討した. TNFαは受傷後3,6及び12時間の切創では,創部に侵潤してきた好中球の細胞質に陽性所見が認められた.受傷後1及び3日の切創では,好中球に代わり単球やマクロファージの貧食細胞の侵潤が主体となり,これらの細胞質に陽性所見が認められた.受傷後5及び7日間ではマクロファージ等の貧食細胞のみならず線維芽細胞の細胞質にもTNFαは陽性所見を示した.したがって,TNFαの発現様式は,LI-1αと同様の経時的推移を示しており,受傷後極めて早期の経過時間判定のための有用な指標となり得るものと考えられた. LI-1βは受傷後1時間の切創の両側創縁において,帯状に限局性の陽性所見が認められた.同様の所見が受傷後3及び6時間の創縁にも認められた.しかしながら,全ての試料について,LI-1βが陽性となった好中球,マクロファージ及び線維芽細胞等の有核細胞はわずかであり,LI-1αやTNFαの反応よりも弱いものであった.したがって,LI-1βの損傷の生前・死後の鑑別に有用な指標となる可能性が示唆された. 以上,LI-1αのみならずLI-1β及びTNFαもまた,生前・死後の鑑別を含めた受傷後経過時間の判定上,有用な指標となりうるものと考えられた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 近藤稔和 他6名: "受傷後経過時間,インターロイキン1β及び腫瘍壊死因子を指標とする皮膚損傷の受傷後経過時間判定に関する実験的研究(第2報)" 日本法医学雑誌. 48補(印刷中). (1995)
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[Publications] Kondo T.Ohshima T: "Experimental study on the estimation of skin wound age after injury by immunostaining interleukinlα.collagen type l and fibronectin." Rechtsmedizinische Forschungsergebnisse edited by M.Oehmichen Verlag Schmidt-Romhild.Lubeck,Germany.(印刷中),