1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06857033
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
柳澤 浩介 愛媛大学, 医学部, 助手 (70182368)
|
Keywords | IL-4 / 造血幹細胞 / 分化,増殖 / ME-F2 / ME-F3 / チロシンキナーゼ / ras蛋白 |
Research Abstract |
IL-4による造血幹細胞の増殖、分化機構の解析 コロニー刺激因子をはじめとするサイトカインは造血幹細胞のみならず、白血病細胞の分化、増殖をも刺激することが明らかとなっており、白血病治療における臨床面での応用が期待されているが、その作用機序については不明の点が多い。本研究の目的はサイトカインによる分化、増殖反応における細胞内シグナル伝達機構を明らかにすることである。本年度はIL-4によるシグナル伝達機構を解析した。我々が樹立した白血病細胞株ME-1のサブクローンであるME-F2,ME-F3はIL-4により、それぞれ増殖、分化反応を示す。そして、この反応はチロシンキナーゼ阻害剤であるハービマイシンにより、完全に抑制された。ME-F2,ME-F3をIL-4で刺激し、抗フォスフォチロシン抗体を用いてウエスタンブロッティングをおこない、各種蛋白の迅速かつ一過性のチロシンリン酸化を認めた。抗GAP血清を用いた免疫沈降により、ME-F2ではIL-4刺激により、GAPのチロシンリン酸化およびras蛋白の活性化(GDP-rasよりGTP-rasへの転換)が起こっていて、一方ME-F3ではGAPのリン酸化は認められず、活性化rasへの変換も無い事が明らかとなった。MAPキナーゼの活性化はME-F2,F3共認められなかった。オンコジーンであるc-myc,c-fosの解析においては、ME-F2ではIL-4によりc-myc増幅、c-fos抑制、ME-F3ではc-myc抑制、c-fos増幅と全く逆の反応を示した。以上の結果より、IL-4によるME-F2の増殖機構はras制御蛋白であるGAPのチロシンリン酸化→活性ras蛋白への転換→癌遺伝子c-mycの増幅、c-fosの抑制という機構により引き起こされている事が明らかとなった。一方、分化反応については、GAPのリン酸化、rasの活性化は見られず、他の種類のチロシンキナーゼが活性化され、GAP以外の蛋白をリン酸化し、c-myc抑制、c-fos増幅を引き起こす機構が考えられた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Kohsuke Yanagisawa他: "Defference in responce to colony-stimuloting factors and Involvement of Protein Kinase C transduction system." Blood. 84. 84-93 (1994)
-
[Publications] Kohsuke Yanagisawa他: "Interleukin-4 in chronic myelomonocytic leukemia" Acta Haematol.92. 104-108 (1994)