1994 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性心疾患におけるリポ蛋白(a)遺伝子多型性の解析
Project/Area Number |
06857044
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
石永 裕司 島根医科大学, 医学部, 助手 (70243433)
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Keywords | 虚血性心疾患 / リポ蛋白(a) / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
1.血中Lp(a),Lp(a)フェノタイプの解析 (1)健康者群:健常者1508人(男性1058人、女性450人、平均年齢43±7歳)のLp(a)は正規分布せず、平均値18.2±9.6mg/dl、中央値13.0mg/dlであった。Lp(a)値が30mg/dl以下、30-50mg/dl、50-80mg/dl、80mg/dl以上の各群男女20人(80mg/dl以上の群は男性4人、女性5人)のフェノタイプ解析を行った。既報と同様に分子サイズの小さいアイソフォームほどLp(a)値が高かった。 (2)心筋梗塞患者群:当科に入院した心筋梗塞患者56人(男性38人、女性18人、平均年齢62±12歳)について同様の解析を行った。Lp(a)はの平均値20.4±14.5mg/dl、中央値13.8mg/dlで健常者群と有意な差は認めず、フェノタイプの解析の結果も健常者と同様であった。うちの1例はヘテロ接合型家族性高コレステロール血症と高Lp(a)血症(Lp(a)値は90mg/dl)を合併していた。興味あることに、この患者は42歳の女性、コレステロールが300mg/dl前後と比較的リスクファクターが少ないと考えられるにもかかわらず重度の冠動脈硬化症(3枝病変)であった。 2.Apo(a)遺伝子多型性の解析 Apo(a)遺伝子多型性の解析は非RI-SSCP法により行った。末梢血より常法によりDNAを抽出したのち、Apo(a)遺伝子5´領域(-90-+310塩基)をPCR法により増幅した。PCR産物を12.5%ポリアクリルアミド(Phastgelシステム)にて電気泳動したのち、銀染色し、遺伝子変異を解析した。上記の対象者は、全て同じパターンを示し、5´領域には多型性を認めなかった。クリンゲル4領域は繰り返し構造であることと、増幅領域が長いため、PCR法による増幅ができず解析できなかった。今研究ではApo(a)遺伝子5´領域に多型性を認めなかった。しかしながら、解析した5´領域はコード領域に近い下流の部分(-90-+310塩基)であり、通常の遺伝子転写調節がかなり上流に存在することを考えると、Apo(a)遺伝子多型性が5´領域のもっと上流に存在する可能性がある。今後はApo(a)遺伝子の上流の塩基配列の決定と転写調節遺伝子の同定が必要であると考えられる。
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