1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06857138
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田村 幸彦 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (40188446)
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Keywords | 重金属 / 骨 / 亜鉛 / 低カルシウム |
Research Abstract |
従来から、重金属投与時だけでなく寒冷・拘束などの各種生理的ストレスにより「金属結合蛋白質」が、ラット肝臓に誘導合成されることが知られている。ところで、我々は低Ca食飼育下のラットにおいて、短期間で骨吸収が進み骨代謝が活性化されることを明らかにした(歯科基礎誌34,595-611,1992)。今年度はこの低Ca食飼育下のラット肝臓において「亜鉛結合蛋白質」が誘導合成される知見を得たのでこれを報告する。 方法:Wistar系雄性ラットの加齢群(28ヶ月齢)と若年群(4週齢)に対Ca食として0.05%Caを含むエサを与え、正常Ca食として0.5%Caを含むエサを与えて飼育した。ラットは6日間飼育後屠殺し、肝臓・腎臓を摘出した。この標本の細胞質分画をゲルろ過し原子吸光分光光度計にて金属濃度を測定後、さらに電気泳動を行なった。 結果:低Ca食群の若年ラット肝臓において亜鉛結合蛋白質の誘導が認められたが、腎臓では変化が見られなかった。一方、対照群と加齢ラットの肝臓・腎臓では認められなかった。電気泳動の結果、この亜鉛結合蛋白質は分子量3万であった。各種ストレスにより誘導されることが知られている金属結合蛋白質(metallothionein)は、分子量1万以下の蛋白質であることからmetallothioneinとは異なる蛋白質が、低Ca食飼育により肝臓に誘導合成されることが示された。静岡大学の山口らは亜鉛投与により、骨DNA量およびアルカリフォスファターゼ活性の増大を報告している。従って低Ca食群若年ラットは、Ca代謝の変化に伴い生体内亜鉛と結合した蛋白質が肝臓に誘導され、これが骨代謝の活性化と関連している可能性が示唆された。 結論:低Ca食飼育により骨代謝が活性化された若年ラット肝臓において、亜鉛結合蛋白質が誘導合成されることが証明された。今後はこの蛋白質と骨吸収の関連性を追究し、骨代謝制御因子の解明を行う予定である。
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Research Products
(1 results)