1994 Fiscal Year Annual Research Report
強タンパク親和性薬物の定量的結合解析法の開発とその応用
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06857170
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澁川 明正 京都大学, 薬学部, 助手 (30170913)
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Keywords | タンパク結合 / アルブミン / 高速液体クロマトグラフィー / 先端分析 |
Research Abstract |
タンパク結合は薬物の薬理効果の発現や体内動態に大きく影響する。安全で効果的な薬物の開発を推進する上で、タンパク結合の研究は不可欠である。ところが、タンパク質との親和性が強い薬物の場合、低レベルの非結合型薬物濃度を精度良く定量することは困難であった。私はこの問題点を解決するために、我々が既に開発した高性能先端分析(HPFA)法を利用して、強タンパク親和性薬物の非結合型濃度を簡便に定量できるオンラインHPLC分析法を開発した。 代表的な血漿タンパクであるアルブミンと抗糖尿病薬であるtroglitazone(CS-045)又はキサンチンオキシダーゼ阻害薬であるBOF-4272の混合溶液を試料に用いた。今回作成したHPLCシステムは、HPFA分析用ジオールシリカカラム、前濃縮カラム、並びに分析用HPLCカラムを2つのスイッチングバルブで連結したものである。混合試料をHPFAカラムに直接注入すると、先端分析の原理に基づいて非結合型薬物がプラトー部分を有する台形状ピークとして溶出された。このプラトー部分の一定量をheart-cutして前濃縮カラムに送った後、溶出力の強い分析用移動相を流して濃縮された非結合型薬物を分析カラムに送った。この時得られたピーク面積から濃縮された非結合型薬物量が求まり、heart-cutしたプラトー体積で除することにより試料中の非結合型濃度が求まった。BOF-4272については光学分離カラムを用いることにより光学異性体ごとに非結合型濃度を測定することができた。また、本法はヒト血漿中非結合型CS-045濃度測定に適用できた。いずれの薬物も99%以上の結合率を示したが、低濃度(数百pM〜数nM)の非結合型濃度を通常のUV検出器を用いて再現性良く(CV<10%)定量できた。また、BOF-4272とアルブミンとの結合は立体選択的であり、かつ動物種(ヒト、ウシ、ラット)により異なることが判明した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Akimasa Shibukawa et.al,: "Study of the enantioselective binding between BOF-4272 and serum albumins by means of high-performance frontal analysis" Journal of Chromatography A. 694. 81-89 (1995)
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[Publications] Akimasa Shibukawa et.al,: "High-performance frontal analysis for the study of protein binding of troglitazone(CS-045) in albumin solution and in human plasma" Journal of Chromatography A. (印刷中).