1994 Fiscal Year Annual Research Report
交渉支援システムのための推論と知識表現に関する研究
Project/Area Number |
06858036
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 英之進 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (10251638)
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Keywords | 交渉支援 / 分散人工知能 / 非協調的相互作用 |
Research Abstract |
本研究では,交渉支援システムに関する次の2点について研究を行った. 1.他のエージェントを考慮した合理的推論機構 (1)エージェントの相互作用を,エージェントが他のエージェントに通信する宣言段階と行動選択段階の2段階から構成される2×2ゲームとしてモデル化した. (2)利得間の関数に着目して,宣言を確言,約束,警告,脅迫,虚言の5種類に分類した.この分類を利用して,宣言段階における合理的推論機構を構築した. (3)利得間の関係に着目して,行動を利己的,利他的,協調的,懲罰的,自滅的,両損的などの8種類に分類した.この分類を利用して,行動選択段階における合理的推論を構築した. (4)複数の知的エージェントの合理的推論の相互干渉を,コンピュータシミュレーションにより解析した.生物学における進化的に安定な戦略の概念を拡張して合理性を定義し,エージェントの合理的な宣言,行動の条件を求めた.エージェントの合理的な宣言,行動とは基本的に,協調者に対しては協調的に対応し,その他の者には利己的に対応することであった. 2.他のエージェントに関する情報を保存するための知識表現形式 (1)知識表現形式の候補として,命題論理モデル,述語論理モデル,属性値集合モデル,有限オートマトンモデルの4つを定義した. (2)それぞれのモデルを,情報量と計算時間の二つの観点から分析した.分析の結果,有限オートマトンモデルを現実的な知識表現形式と見なす結論を得た. 交渉支援システムのための技術は研究初期段階にあるものがほとんどであった.この研究で得られた上記の結果は,交渉支援システムの推論と知識表現の基礎技術となるものである.
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