1994 Fiscal Year Annual Research Report
汚水の生物学的浄化に有用な微小動物の生育因子による高度汚用
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06858059
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
林 紀男 千葉県立中央博物館, 環境科学研究科, 学芸研究員 (60250156)
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Keywords | 生物学的水浄化 / 有用微小動物 / 生育因子 / 米 / 高密度 / バイオマス |
Research Abstract |
生活雑排水等の低濃度有機性排水の浄化槽や下水処理場反応槽等における生物学的浄化過程に着目し、これらの浄化過程に袋型動物輪虫類Philodina erythrophthalma等に代表される、ろ過摂食性の有用微小動物を高密度に生息させることにより浄化効率の高度化を目指した検討をおこなった。得られた成果は以下のように要約される。 (1)これまでの検討により、フラスコスケールの室内実験で得られていた輪虫類Philodina erythrophthalmaの最大個体密度は1mlあたり10,000個体程度であったが、培養基質の入れ換え等の管理を綿密におこなうことにより連続的に1mlあたり24,000個体の生息密度を維持し得ることが可能となった。 (2)輪虫類Philodina erythrophthalmaの個体密度を1mlあたり20,000個体以上に維持した場合、個体サイズが生息空間の影響等により小型化し、生物体現存量(バイオマス)としては1mlあたり10,000個体程度の場合と比較して30%程度しか増大しないが、培養時に凝集体摂食者である貧毛類Aeolosoma hemprichi等を共存させることにより全体としての総バイオマスは50%まで増大させることが可能となることが明らかとなった。 (3)米に含有される微量生育因子を、カラムクロマトグラフィー、凍結乾燥器およびロータリーエバポレーターにより分画し大量に生成して実験に供する手法を確立した。 (4)微量生育因子を活用して有用微小動物輪虫類Philodina erythrophthalmaの増食を活性化させた場合においても、混合微生物生態系を構成する他の原生動物および微小後生動物に影響を及ぼすことは無く、共存する摂殖機構を異にする凝集体摂食者Aeolosoma hemprichi等の微小動物の活性を増大させる効果を有することがフラスコマイクロコズム試験において明らかとなった。
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