1994 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス長期増強特異的に発現が誘導される遺伝子の解析
Project/Area Number |
06858072
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植田 淳子 大阪大学, 基礎工学部, 教務職員 (90252634)
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Keywords | ホールセルクランプ法 / シナプス伝達 / 長期増強 / 分子生物学 / サブトラクション法 / 差分発現法 |
Research Abstract |
昨年度までに、大脳神経解離培養系を確立し、この系において、in vivoと同様なシナプスが形成されること、さらには、Mg_<2+>除去操作により、長期増強(LTP)と同様な現象がおこることを確認している。本研究は、Mg_<2+>除去操作の前後で発現量の変化した遺伝子を解析する事を目的としているが、本年度はその準備段階として以下の実験事実を明らかにした。 Mg_<2+>除去によるLTPが、転写阻害剤(actinomysin D)と蛋白質合成阻害剤(cycloheximide)によって抑制された。すなわち、この現象は核での新規mRNAの合成並びにそれに続く蛋白質合成のどちらの過去も必要とすることがわかった。 Mg_<2+>除去によってLTPを誘導した後、このMg_<2+>-Free記録外液を採取し、MgCl_2を加えてMg_<2+>-Free conditioning medium(MFC)とした。このMFCを別の培養細胞に加えた所、LTPが誘導され、MFC中にLTPを誘発する因子が存在する可能性を示唆した。 この様に、この系におけるLTP誘発には、特異的遺伝子の発現が必須であることが明白になった。従来、ある状態の細胞でのみ特異的に発現している遺伝子には、subtractive cDNA libraryを作成し、differential hybridizationを行うのが通常であった。しかし、この方法は高度の技術を必要とするにもかかわらず、再現性に乏しいと言う短所をもつ。これに反し、近年開発されたdifferential Display法は、それほど高度な技術を必要とせず、しかもコピー数の少ないものも、直接的に再現性よく比較できると言う利点をもつ。本研究でも後者の方法を適用すべく、まず培養細胞からのRNA精製法(AGPC法)を確立し、現在RT-PCRにおける増幅条件の検討を行っている。本方法は短時間で多くのクローンを解析でき、LTP関連遺伝子の同定が早期に実現できるものと期待される。
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