2006 Fiscal Year Annual Research Report
新しい日本人のアイデンティティ:市民権と多文化共生をめぐる移民者の物語
Project/Area Number |
06F06008
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川上 郁雄 早稲田大学, 大学院日本語教育学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHAPMAN D.R. 早稲田大学, 大学院日本語教育学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | コミュニティ / 移民 / アイデンティティ / シチズンシップ / 多文化主義 / 所属意識 / 越境 / 移住 |
Research Abstract |
本研究は、南オーストラリア大学のDR.David R.Chapman氏との共同研究である。 日本は少子化・高齢化が進んでおり、労働人口の減少と労働力の確保が重要な課題となってきている。その課題への取り組みとして考えられるのが外国人労働者の受入れである。したがって、今後の日本社会はますます多言語化・多文化化することが予想される。一方、日本にはこれまでも外国人居住者が生活してきている。そのひとつの例が在日コリアンであるが、日本社会には一般に「単一文化社会」観が根強く、その中で生きる在日コリアンのアイデンティティの課題が、今後の日本社会の多言語化・多文化化する社会的コンテクストの中でどのように変化していくかは、今後、日本に大量に入国すると予想される外国人労働者やその家族のアイデンティティの課題を考えるうえで貴重な先行例となることが考えられる。本研究は、そのような視点から、日本の中で最も多言語化・多文化化する新宿区において、市民権と多文化共生をめぐる在日コリアンの「移民者の語り」に注目する。その理由は、日本社会に古くから居住してきたオールド・カマーと、近年日本に入国してきているニュー・カマーの両方が、在日コミュニティには含まれており、かつ、定住者および短期滞在者、日本人との国際結婚とその子どもの出現など、多様化が進んでおり、それらの人々が自分たち自身と日本社会との関係をどう捉えているかという課題が今後の日本社会を考えるうえで重要な示唆を与えてくれると考えるからである。今年度は、その準備として、新宿区および関係地域、行政機関等での調査を行った。今後は、さらにフィールドワークを重ね、理論化を進める。
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