2007 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀におけるグローバルな陸面エネルギー水循環の年々変動に関する研究
Project/Area Number |
06F06142
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沖 大幹 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NGO-DUC Thanh 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 陸面モデル |
Research Abstract |
全球河道流下モデル、数値気象予測モデルなどの既存のモデルに加えて、Topex/PoseidonやGRACEなどいくつかの衛星による地球観測プロジェクトから得られるデータを用いて大陸上の水フラックスの変動と輸送の研究が行われた。 Total Runoff Intergrating Pathways(TRIP)は東大生研で開発された全球河道流下モデルであるが、日単位で全球の河川流量をシミュレートするためにTRIPを改良したTRIP2を開発した。これまで日単位の河川流量をグローバルに適切にシミュレートできた研究はなく、これは画期的な成果となった。TRIP2では、元のTRIPの様に全球固定の流速ではなく、河道勾配によって流速は変化するのみならず、水位によっても流速が変化するメカニズムが組み込まれた。この成果をまとめた結果はHydrology and Earth System Sciences Discussionsに出版され、Journal of Hydrology and Earth System Sciencesで改訂中である。 国際プロジェクトであるGSWP2(Global Soil Wetness Project-Second)によって推計された陸水貯留量の変化についても解析された。本研究では、GSWP2に参画した15の陸面モデルが同じような陸水貯留量の季節変化を示すかどうかがチェックされ、Topex/Poseidon衛星計画から得られた観測データと比較された。モデル間の対応は非常によく、その成果は2008年夏にHydrological Research Lettersに投稿されている。 本研究期間には、もう一本の研究論文がWater Resources Researches誌上に出版された。この論文では、GRACE衛星データから推計される陸水貯留量の季節変化を陸面モデルが適切に算定できることが示された。この他、TRIP2や長期間の気象外力データセットなどを通じて東大生研の水研究グループの他のメンバーとの共同研究も実施され、その成果の一部はすでに国際会議や国際ワークショップで発表され、学術雑誌への投稿へ向けて取りまとめの最中である。
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