2006 Fiscal Year Annual Research Report
コスタリカ(中米諸国)におけるヘリコバクター・ピロリ感染と消化管疾患の病態解析
Project/Area Number |
06F06248
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
杉浦 哲朗 高知大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CON CHIN Sergio A. 高知大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | コスタリカ / 消化管疾患 / ヘリコバクター・ピロリ / 病原性 / 宿主免疫応答 |
Research Abstract |
日本同様に胃癌の高頻度発症国であるコスタリカでの胃内ヘリコバクター・ピロリ菌感染と消化管疾患発症との関連性について研究している。これまでに、コスタリカ人に感染しているピロリ菌遺伝子(cagA, vacA, babA2, babB)の多型性について胃癌および前癌病変と考えられる慢性萎縮性胃炎(腸上皮化生含)の患者から採取した分離株(129名、129株)を用いて解析した。菌からDNAを抽出しPCR法にて各遺伝子(保有率、型等)を解析した。また、cagAがコードするCagA蛋白の病原性はリン酸化部位領域(アミノ酸配列(EPIYA)の存在とEPIYA-C反復数)がその細胞障害性の重症度に関与する為、シークエンス後、アミノ酸配列を解析・評価した。129名は萎縮性胃炎36名、非萎縮性胃炎68名、胃癌25名であった。CagAはリン酸化部位領域にてWSS(ウエスタン型)とESS(東アジア型)に分類し、EPIYA-Cの反復数と合せて疾患群間で比較解析を行った。結果はvacAはs1/m1型優勢で、cagA(75.3%),babA2(70.1%),babB(80.4%)の保有率はヨーロッパ・北米地域と東アジア地域の中間に位置した。さらにvacAはvacA s1b(75.3%),vacAm1(74.2%)の保有率であり、年齢・性で調整後、疾患との関連性を統計学的に解析すると、vacA s1bとm1は胃癌群と有意な関連性を認め、vacA m1のみが萎縮性胃炎と有意な関連性を認めた。cagAとvacA s1b、cagAと萎縮性胃炎との関連性はその傾向を認めた。癌群と非癌群間でCagA型に差は認めず(殆どWSS型(2例のみESS型))、2つのEPIYA-C配列を有する株は6例(2例が癌群)であり、両群間で差を認めなかった事より、CagAのリン酸化のみでコスタリカにおける胃癌発症病態は説明できない事も示唆された(論文投稿中)。
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Research Products
(4 results)