2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規抗リンパ腫治療薬を目指した多機能性融合抗体の開発研究
Project/Area Number |
06F06410
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 泉 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ABDELKADER ADEL Badran 東北大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | TRAIL / scFv / 融合抗体 / MHC / CD19 / EGFR / 巻き戻し |
Research Abstract |
がん細胞はT細胞が標的とするMHCの発現を低下させるなど、その攻撃から免れている。このため、T細胞をがん細胞に標的化したり、がん細胞特異的な殺傷能を有する新規治療薬の開発は望まれている。そこで、本研究は、MHCとリンパ腫上に高発現しているCD19等に対する一本鎖抗体(scFv)との融合分子、あるいは、がん細胞にのみ強力なアポトーシスを誘導するTRAILを遺伝子工学的に融合した抗体の構築を目指す。さらには、これらを組み合わせた融合タンパク質の構築も試みるなど、Bリンパ腫を中心とする悪性腫瘍に対する多機能性融合抗体の開発を目的としている。本年度の研究成果は以下の通りである。 昨年度、TRAIL単独分子の段階透析法を用いた巻き戻しによる調製を行ったが、コントロール分子に比べて活性の低下が見られた。TRAILはZn担持タンパク質であり、システイン残基のチオール基に配位することが知られている。そこで、巻き戻し後のTRAIL中の不適切なジスルフィド結合をDDTにより還元後、亜鉛含有緩衝液に透析を行ったところ、結合活性の回復と市販のTRAILと同等の細胞傷害活性の実現に成功した。一方、昨年度構築した抗EGFR抗体528一本鎖抗体(scFv)との融合タンパク質の機能評価も進めた。がん細胞増殖抑制試験を行った結果、高濃度でのみしか細胞傷害活性が見られなかったため、ベクターおよび融合蛋白質中のリンカー配列の検討を行ったが改善は見られなかった。そこで、巻き戻し後に前述の還元処理、及び亜鉛を添加したところ、十分な活性を確認することができた。Bリンパ腫を中心とする悪性腫瘍の治療薬の開発に向けても、B細胞上に高発現しているCD19に対する抗体可変領域の全合成を進めている。
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