2006 Fiscal Year Annual Research Report
野生復帰を目指したモンゴル野生馬の繁殖特性解明と遺伝子保存に関する研究
Project/Area Number |
06F06445
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田谷 一善 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WENG Qiang 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 外国人特別研究員
|
Keywords | モンゴル野生馬 / ウマ胎子 / プロジェステロン / 副腎 / テストステロン / インヒビン / エストロジェン / 性腺刺激ホルモン |
Research Abstract |
平成18年度は、以下の成果が得られました。 1.ウマ胎子副腎細胞のインヒビンおよびステロイドホルモン分泌機能 ウマ胎子の副腎がインヒビンとステロイドホルモンを分泌する機能を有するか否かを明らかにする目的で、胎令235日のサラブレッド胎子の副腎を用いて、インヒビンα、β_A、β_B鎖および4種類のステロイドホルモン合成酵素の抗体により免疫染色を行った。その結果インヒビンβ鎖が陽性を示したが、インヒビンα鎖とβ_A鎖は陰性であった。これらの結果からウマ胎子副腎は、アクチビンBを分泌する可能性を有するがインヒビンの分泌能は無いと判断された。 ステロイドホルモン合成酵素については、3β-HSDHが陰性であったが、P450SCC,P450C17,およびP450aromataseが陽性であった。これらの結果から、ウマ胎子副腎では、コレステロールからプロジェステロンを合成する能力は無いが、テストステロン、エストラジオール、コルチコステロンを合成する能力を有することが判明した。従って性腺あるいは胎盤で合成された、プロジェステロンが副腎に移行するものと推察された。 2.雌ウマの発育過程における性腺刺激ホルモンおよび卵巣ホルモンの分泌変化 出生から6ヶ月令までの雌新生子の血中LH、FSH,インヒビン、プロジェステロン(P)、テストステロン(T)およびエストラジオール(E)濃度を測定した。その結果、出生後72時間以内にP、T、Eは基底レベルに低下したが、インヒビンは30日令頃までゆるやかに基底レベルに低下した。血中LH濃度は、出生後6ヶ月まで大きな変化は認められなかったが、FSH濃度は4ヶ月頃から基底レベルの上昇が認められた。以上の結果から、雌ウマ新生子では、出生後ステロイドホルモン分泌は急激に低下するがインヒビン分泌は維持され卵巣の萎縮と共に低下するものと推察された。
|