2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物乳液に含まれる害虫制御に応用可能な殺虫タンパク質・二次代謝物質に関する研究
Project/Area Number |
06F06622
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
今野 浩太郎 National Institute of Agrobiological Sciences, 昆虫科学研究領域・昆虫-昆虫・植物間相互作用研究ユニット, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KABIR K.E 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫科学研究領域・昆虫-昆虫・植物間相互作用研究ユニット, 外国人特別研究員
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Keywords | 植物耐虫性 / 耐虫性タンパク質 / 植物乳液 / キチナーゼ / 囲食膜 / 前腸上皮 / セラチア菌 / 経口注入および皮下注入 |
Research Abstract |
キチナーゼは植物が昆虫の食害等により傷害を受けたときに発現が誘導されたり、植物の防御組織であると考えられる乳液にしばしば発現したりすること、またキチナーゼ自体が昆虫に毒性・成長阻害活性を持つことが報告されることから、植物の昆虫に対する防御タンパク質としての役割を持つ可能性が示唆されている。そこで、キチナーゼ(キチン分解酵素)の昆虫に対する毒性発現機構を調べるため、大量に市販されている(セラチア菌Serratia marcescens)由来のキチナーゼをエリサン幼虫に摂取させたときにみられる毒性発現メカニズムを検討した。セラチア菌キチナーゼは口器から注入(経口注入)したときも血リンパ(血液)に注入したとき(皮下注入)も、同様な急性毒性を示した(数時間〜1日以内に死亡)。また、経口注入したときでも皮下注入したときでも、皮膚に特徴的な黒い斑点が現れるなど、昆虫が致死するまでに一連の酷似した症状が現れた。また、経口注入した場合は囲食膜に変化が見られるだけでなく、前腸内腔面に見られるキチン層が消失しているらしいことが蛍光キチン染色の結果から示唆された。これまでキチナーゼの経口摂取が昆虫に対して示す毒性の根本原因は、キチナーゼが囲食膜を破壊することであるとするのが定説であった。しかし、本年度の我々の結果は、キチナーゼによる前腸上皮の破壊や血リンパに侵入したキチナーゼが体内の標的を攻撃することにより毒性を発現している可能性を強く示唆するものである。本年度の結果は従来の定説を変更する可能性を含んだものとして意義がある。
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Research Products
(1 results)