2007 Fiscal Year Annual Research Report
Bリンパ球の活性化と恒常性維持におけるIRFファミリー転写因子の役割
Project/Area Number |
06F06763
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 維紹 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAVITSKY David 東京大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | B細胞 / Hyper IgM症候群 / IRF / クラススイッチ |
Research Abstract |
前年度に引き続き本研究ではIRFファミリー転写因子の機能解析を通し、末梢のリンパ組織におけるclass switch recombination(CSR)の分子機構の-端を明らかにするべく、検討を行う。IRFファミリー転写因子はウイルス感染等、病原体感染における免疫賦活化に重要な転写因子であり、特にIRF5は病原体認識受容体であるToll-likereceptor(TLR)刺激において活性化され、IL-6などの炎症性サイトカインの誘導に重要なだけでなく、ウイルス感染時のIFN産生、アポトーシス誘導などの多岐にわたり、原体に対する免疫応答に深く関わる転写因子である。これまでの実験でIRF-5欠損マウスにおいてcomplete Freund adjuvant(CFA)TNP-KLHで免疫した際に、IgMを除く全てのクラスの抗体価が著明に抑制されていることが見いだされていたが、さらに検討を重ねた結果、LPSやCpGBなどのPathoge-associated molecular patterns(PAMPs)刺激による抗体産生にも異常があるという新しい知見を得ることができた。すなわちマウス個体にPAMPsを投与し、血中の抗体価を測定するとIRF5欠損マウスにおいてIgMを除く全てのクラスの抗体価が著名に抑制されていることが分かった。このような異常はinvitroで培養したB細胞でタンパクレベル、遺伝子レベルともに観察され、特にlgG2aにおいて顕著に見られた。IgG2aは自己免疫に関わる重要な抗体であり、一方でヒト全身性エリトマトーデス(SLE)患者においてIRF5遺伝子に-塩基変異多型(SNP)が報告されていることから、今後自己免疫に焦点を当て、本研究の生理的な意義を明らかにするべく検討を行う。また、IRF5によるCSR制御の分子メカニズムをさらに解析するとともに、他のIRFファミリー転写因子群についても検討を加えることを予定している。
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