2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06805
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
柳 日馨 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DENICHOUX Aurelien 大阪府立大学, 理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ルテニウムヒドリド触媒 / α,β-不飽和アルデヒド / ベンズアルデヒド / ヒドロキシメチルケトン / ルテニウムエノラート / アルドール反応 / 水素移動反応 |
Research Abstract |
遷移金属錯体を用いた触媒的炭素-炭素結合形成反応は、高付加価値を持つ有機化合物を合成するための有用な手段である。当研究室では、α,β-不飽和アルデヒドをイソプロピルアルコール存在下、RuHCl(CO)(PPh_3)_3触媒により処理すると、還元的二量化反応が進行し、2-ヒドロキシメチルケトンが生成する反応を最近見出している。本研究ではこのルテニウムヒドリドによる触媒反応を発展させ、2-ヒドロキシメチルケトンを与えるあらたな触媒反応を開発することを目的とした。 RuHCl(CO)(PPh_3)_3存在下、α,β-不飽和アルデヒドとベンジルアルコールを反応させたところ、カップリング反応が進行し低収率ながら期待した2-ヒドロキシメチルケトンが得られることを見いだした。この反応は、水素移動反応によるベンズアルデヒドの生成、ルテニウムヒドリド種のα,β-不飽和アルデヒドへの付加によるルテニウムエノラートの発生、ルテニウムエノラートとベンズアルデヒドとのアルドール型反応を鍵過程としているものと考えている。本反応では、反応初期段階で水素移動反応により基質であるα,β-不飽和アルデヒドが消費される。また副反応としてα,β-不飽和アルデヒドの還元的二量化が進行し、これらが低収率の原因となっている。種々検討の結果、反応系中に少量のベンズアルデヒドを共存させ、シリンジポンプを用いてα,β-不飽和アルデヒドを滴下することで副反応を抑制し、目的化合物である2-ヒドロキシメチルケトンの収率が向上した。本反応では種々のα,β-不飽和アルデヒド、ベンジルアルコール類が適用可能である。
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