2006 Fiscal Year Annual Research Report
キイロショウジョウバエを用いたDNAポリメラーゼζのDNA修復機構の解析
Project/Area Number |
06J00087
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
武内 亮 東京理科大学, 理工学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNAポリメラーゼ / ショウジョウバエ / REV3 / REV7 / Recombination Repair Protein 1 / AP endonuclease 1 |
Research Abstract |
既にキイロショウジョウバエのDNAポリメラーゼζ(Po1ζ)がヒトのApurinic/apyrimidinic(AP)Endonuclease 1(APE1)のホモログであるRecombination RepairProtein 1(Rlp1)の複合体に含まれ、PolζのサブユニットであるREV7がin vitroでRrp1と相互作用することを見い出した。DNA上の脱塩基損傷(APサイト)の修復に関わるRrp1とREV7が相互作用することからPolζがAPサイトの修復に関与していると考えられるが、この除去修復におけるPolζの役割は知られていない。そこで本研究の目的は、キイロショウジョウバエを用いてAPサイトの修復機構におけるPolζの役割を分子レベルならびに個体レベルで解明することし、平成18年度は、このAPサイト修復機構に関与する可能性のあるPolζならびにRrplの精製蛋白質を用いて、これらの蛋白質の機能を生化学的に解析した。まず細胞内においてもRrp1とPolζが相互作用していることを確認した。rrp1とrev7遺伝子をembryo由来の培養細胞に導入し、免疫沈降実験を行なった。その結果、両者がin vivoでも相互作用することが確認できた。2つの遺伝子を導入した培養細胞を用いてRrp1とREV7の細胞内局在を観察した。2つの蛋白質は共に細胞核内に局在し、またクロマチン思われる構造体上で共局在することがわかった。次に精製したRrp1、REV3(Polζの触媒サブユニット)、REV7を用いて、この相互作用が酵素活性に与える影響を調べた。まずREV7よるRrp1の酵素活性の変化を調べたところ、REV7はRrp1のAP endonuclease活性を促進させることがわかった。ヒトのAPE1は自身の酵素活性によってAPサイトにニックを入れた後もそこに留まるが、ニックを埋めるDNAポリメラーゼβ(Polβ)と結合することでAPE1はニックを入れた基質から解離できることが知られている。REV7もPolβと同様の機構でRrp1のturn overを加速させ、AP endonuclease活性を促進させたと考えられる。つまり、Rrp1はPolζをリクルートし、APサイトにニックを入れた後にDNAから解離すると考えられる。
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