2006 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンナシの自家不和合性を制御する花粉側S遺伝子の同定と自他認識機構の解明
Project/Area Number |
06J00780
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡田 和馬 神戸大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 自家不和合性 / ニホンナシ / 自家和合性 / S-RNase / 欠失 / F-box / DNAマーカー |
Research Abstract |
ニホンナシの自家和合性変異体‘おさ二十世紀'に由来するS4smハプロタイプは、S4ハプロタイプから雌しべ側S遺伝子S4-RNaseを含む領域を欠失しているが、花粉側S遺伝子は欠失していない。欠失領域を特定することで、欠失領域外に存在する未同定の花粉側S遺伝子を効率的に探索できる。これまでに、欠失はおよそ250kbに及ぶことを明らかにしている。 欠失の正確な大きさを決定するため、欠失領域をカバーする4つのBACクローンをサブクローニングし、欠失領域の全塩基配列を決定した。その結果、欠失は236kbに及び、花粉側S遺伝子はS4-RNaseから上流48kb以上あるいは下流188kb以上離れた位置に存在することが判明した。欠失領域からは、S4-RNaseの他に15個の(レトロ)トランスポゾンと1個のF-box遺伝子が予測された。このF-box遺伝子は花粉で特異的に発現していたが、欠失領域に存在するので花粉側S遺伝子ではないと考えられた。 花粉側S遺伝子を探索するため、欠失領域外の塩基配列を解析した。新たに見つかった1つのF-box遺伝子は、他のS-RNase型自家不和合性植物の花粉側S遺伝子SLF/SFBと相同性を示し、花粉で特異的に発現していたことから、ニホンナシの花粉側S遺伝子の有力な候補である。現在、Sハプロタイプ間の構造比較に向けて、‘長十郎'のBACライブラリーからS2-RNase周辺のコンティグを構築している。 一方、自家和合性品種の育種に有用なS4smハプロタイプ特異的マーカーを開発するため、欠失領域を挟むプライマーセット‘SM-F'と‘SM-R'を設計した。このプライマーセットを用いたPCRにより増幅される666bpの断片はS4smハプロタイプに特異的であり、このマーカーを使って実際に‘おさ二十世紀'の雑種後代から自家和合性個体を選抜することができた。
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