2006 Fiscal Year Annual Research Report
雄性先熟魚クマノミの性分化、性転換に関する内分泌調節機構の解明
Project/Area Number |
06J00879
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
三浦 さおり 琉球大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 性分化 / 卵巣分化 / 精巣分化 / 免疫組織化学 / ステロイド合成酵素 / 雌性ホルモン / 両性生殖腺 / クマノミ |
Research Abstract |
これまでに我々は、雄性先熟魚クマノミにおいて、全ての個体で未分化生殖腺が卵巣へ分化すること、その後しばらくしてから卵巣内に精巣が分化することにより両性生殖腺を形成するという特異的な性分化を経ることを明らかにした。しかしながら、クマノミの性分化過程において、どのように性ホルモンが関与しているのか不明である。クマノミの性分化と性ホルモンの関係を明らかにするために、本研究では、アロマターゼ阻害剤(Al)、雌性ホルモン作用を拮抗的に阻害するタモキシフエン(TF)、E2を用いて、卵巣分化と雌性ホルモンの関係を明らかにすることを試みた。 実験群は、対照群とAl20,200μg/g餌およびTF20,2000μ9/g餌投与群を設け、卵巣分化期を含むふ化後30〜90日の60日間経口投与を行った。また、Al(200μg/g餌)+E2(2μg/g餌)投与群を同様の期間投与した。投与終了後、生殖腺を組織学的手法により観察した。 対照群では精巣組織が見られず、卵巣腔および多数の卵母細胞をもつ卵巣組織のみの生殖腺が観察された。Al20μg/g餌およびTF20.2000μg/g餌投与群では精巣組織は見られず、卵巣腔の形成が抑制されていたものの卵形成は進行していた。Al200μg/g餌投与群の6個体中2個体の生殖腺では、卵母細胞が少数で精子形成が進行する精巣組織が生殖腺の頭部側に見られた。残りの個体では、精巣組織はみられなかったが、卵母細胞が著しく少なく、卵巣腔形成が抑制されていた。一方、Al+E2投与群では、精巣組織は見られず、卵巣腔および卵母細胞を含む卵巣薄板をもつ発達した卵巣が観察された。これらのことから、雌性ホルモンは、卵巣腔形成に関与している可能性が高いと考えられるものの、卵形成に直接関係している可能性は低いものと考えられる。
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Research Products
(2 results)