2006 Fiscal Year Annual Research Report
内在性レトロトランスポゾンを用いたミヤコグサの遺伝子タギング系の開発
Project/Area Number |
06J00900
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
深井 英吾 独立行政法人農業生物資源研究所, 基盤研究領域, 特別研究員(PD) (00570657)
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Keywords | ミヤコグサ / レトロトランスポゾン / モデル植物 / 遺伝子タギング / ゲノム動態 / 国際情報交換 / デンマーク |
Research Abstract |
ミヤコグサ内在のレトロトランスポゾンLORE1,2を用いて遺伝子タギングを行うことを目的としている。平成18年度は、詳細が分かっていなかったLORE2について分子的特徴づけを行った。また、LORE1,2の転移誘導に関する解析を行った。 実験系統Gifuの2つの共生変異体において、それぞれの原因遺伝子にLORE2の挿入が見られた。解析の結果、これら2コピーのLORE2間には多型が存在し、独立のコピーであることがわかった。このうち1つは、少なくとも数万年間不活性だったLORE2コピーに由来する転移であることが分かった。実験系統MG20の液体培養細胞において、Gifuに比べLORE2の転写活性が高いことが分かり、MG20では培養によりLORE2の転移を誘導できる可能性が示唆された。 LORE1,2を強転写させることによる転移誘導を試みた。35Sプロモータのエンハンサー領域をLORE1,2それぞれの5'上流に連結したコンストラクトを作製し、シロイヌナズナとミヤコグサに導入したが、形質転換体の次世代における転移はこれまでのところ観察されていない。その原因として、さらに高い転写が転移に必要な可能性が考えられた。そこで、エンハンサー4個をタンデムに連結したものをLORE1,2の5'上流につないだコンストラクトを作製した。このコンストラクトを現在シロイヌナズナに導入している。 LORE1a(転移活性を持つLORE1のネイティブコピー)のメチル化状態が、野生型系統(WT)とLORE1の転移が以前に生じた系統との間で異なっていた。このことから、WTにおいてLORE1がシトシンメチル化を介したエピジェネティックな不活化を受けている可能性が示唆された。実際、受け入れ研究室において見いだされたイネのシトシン低メチル化変異体において、内在のレトロトランスポゾンTos17の転移が観察されている。そこでこの変異体におけるTos17の転移様式等を解析した。今後ミヤコグサで、ゲノムメチル化を維持する遺伝子のRNAi形質転換体の解析を行うが、そこから得られる知見を考察する上でイネから得た情報を利用する。
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