2006 Fiscal Year Annual Research Report
運動時における女性の熱放散反応の発育および老化特性
Project/Area Number |
06J01151
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
一之瀬 智子 (桑原 智子) 大阪国際大学, 人間科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 発汗反応 / 皮膚血管拡張反応 / 体温調節 / 発育・老化 / 性差 / 性ホルモン / 熱中症 / 高齢化社会 |
Research Abstract |
熱放散反応は発育・老化に伴って機能的に変化することが男性を対象とした研究から明らかにされている(Inoue et al. 2004).また,申請者は女性ホルモンが熱放散反応を抑制すると報告している(Kuwahara et al. 2005).思春期以降,女性では熱放散反応を抑制する女性ホルモン分泌が劇的に増加すること,また,閉経に伴い女性ホルモン分泌が急激に減少することから,女性の熱放散反応は発育・老化に伴う女性ホルモンの増減の影響を受けることが考えられる.そのため,男性でみられる熱放散反応の発育・老化特性とは異なる可能性が予想される.しかしながら,女性の熱放散反応に関する発育・老化特性についてはほとんど研究されていないのが現状である. そこで本年度は,女性の熱放散反応の老化特性に関する基礎的な知見を得るため,女性高齢者と若年成人に下肢温浴テストを負荷し,安静時における女性の熱放散反応の老化特性を検討した.さらに,同条件で行なった男性の結果と比較し,熱放散反応の老化過程および老化機序における性差も考察した.その結果,女性においても老化に伴い発汗および皮膚血管拡張反応は低下し,その低下の程度に身体部位差が存在することが示された.また,加齢に伴う老化の進行過程は男女でほぼ同様にみられ,熱放散反応の低下は下肢部から始まり,体幹後面,前腕,頭部へと拡大することが示された.さらに,男性でみられるように女性においても老化は発汗反応より皮膚血管拡張反応で先行すると示唆された.また,発汗反応の老化の程度は,女性が男性より小さいことが示唆された.これは,女性において閉経に伴い女性ホルモンの分泌が急激に減少することから,女性ホルモンによる熱放散反応の抑制が軽減されることに起因し,男性と比較して老化による発汗反応の低下の程度が小さくなったものと考えられる.
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