2006 Fiscal Year Annual Research Report
亜社会性昆虫モンシデムシの親による幼虫数調節機構の生理学的・生態学的研究
Project/Area Number |
06J01331
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
西村 知良 滋賀県立大学, 環境科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 亜社会性昆虫 / ヨツボシモンシデムシ / 子育て行動 / 繁殖行動 / 季節消長 |
Research Abstract |
4月末から11月に腐肉トラップや餌による野外の繁殖実験などの野外調査を継続的に行った。捕獲された主なシデムシ族は、マエモンシデムシ・ヨツボシモンシデムシ・クロシデムシ・コクロシデムシ・ヒラタシデムシであった。これらの野外個体のサイズの指標として前胸背板の幅を測定し、各種の野外集団個体の体サイズの平均が得られた。体サイズの季節変動と野外気温の変化との相関を調べると、ヨツボシモンシデムシとクロシデムシについては、弱いながらも有意な正の相関があった。つまり、種内競争において気温の低い季節には相対的に小型の個体が活発であるといえる。これまで繁殖のための小動物の死体をめぐる種内競争は体サイズのみで議論されていたが、競争に不利な小さな個体も気温の低い時期にはある程度有利に死体獲得できると考えられる。また、この腐肉トラップの捕獲数の性比が、ヨツボシモンシデムシとクロシデムシで有意にオスに偏っていることが明らかになった。可能性の1つとして、野外個体群の性比が偏っているのならば、親による幼虫数調節機構に、親による子の性比の調節があるのかもしれない。また、この調査と並行して設置した繁殖トラップでは、実際に繁殖した個体は、通常の腐肉トラップで捕獲された個体より大きかった。この結果と、今後の予定である幼虫数調節に係わる行動を阻害する実験の結果と比較して、野外での幼虫数調節機構の重要性を評価する。また、研究室の恒温器にて継代飼育し室内実験を行った。さまざまな大きさのえさ資源(鶏肉)を与えて繁殖させると、5-25gの鶏肉では、ペアあたりの幼虫数は鶏肉の重さに比例して増加したが、30g以上の鶏肉では減少した。これより、今後、正比例関係がみられた2-25gの大きさの鶏肉を用いて、幼虫数調節機構の生理学的解明を目指して、まず、資源の大きさを親が測定している時期やしくみを明らかにしたい。
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