2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流体回路を用いたセルソーティングシステムの開発と再生医療への応用
Project/Area Number |
06J01486
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
山田 真澄 東京女子医科大学, 先端生命医科学研究所, 特別研究員(SPD)
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Keywords | マイクロ流体回路 / マイクロフルイディクス / セルソーター / 肝細胞 / 上皮細胞 / 血球分離 |
Research Abstract |
本年度は、これまでに開発を進めてきた「水力学的フィルトレーション」の原理を利用し、マイクロ流体デバイスを用いたセルソーティングシステムの開発への応用を行った。まず、より簡便な操作によって効率的な細胞の分離を可能とするために、流れの分離と再合流を利用した、高効率マイクロ流体回路の設計と作製を行った。このマイクロ流体デバイスを用いることによって、細胞や粒子の懸濁液を連続的に導入するだけで、細胞や粒子を大きさによって任意の数グループに分け、個別に回収することが可能となった。 さらに、具体的な医療への応用を目指し、実際の細胞分離への応用を行った。分離対象として用いた細胞は、ラット肝細胞、ウサギ角膜輪部上皮細胞、イヌ口腔粘膜上皮細胞、ヒト血球細胞等である。これらの細胞では、大きさと機能に関連があると知られており、特定の細胞を簡便に選抜できれば、非常に有意義である。マイクロ流体デバイスを用いて分離を行ったところ、ラット肝細胞集団の実質細胞と非実質細胞への正確な分離が可能であった。また、アルブミン産生能、倍数性の評価などを行ったところ、高機能な分離が可能であることが確かめられた。一方、角膜輪部上皮細胞と口腔粘膜上皮細胞では、コロニー形成能を有する幹細胞様細胞は小さいことが知られている。そこで、マイクロ流体回路を用いて細胞の分画を行い、コロニー形成能を調べたところ、形成能に最大約5倍程度の差がある細胞集団に分画できることが確かめられた。さらに、血球分離においては、血液希釈液を流路内に連続的に導入するだけで、ほぼ100%に近い効率で赤血球と白血球の分離が可能であることが確かめられた。今回提案したマイクロ流体システムは、その正確性と簡便性のため、医療・細胞生化学などの現場における広範囲な利用が期待できる。
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