2007 Fiscal Year Annual Research Report
時間周波数表現の非線形変換に基づく音響システムの計測・制御手法の研究
Project/Area Number |
06J02150
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
森勢 将雅 Wakayama University, システム工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 音響信号処理 / 聴覚フィルタ / スペクトル推定 |
Research Abstract |
本研究では,人間の聴覚特性に基づいた音響システム制御法の提案を目指している.本年度では,以下の3つについて検討を行った. (1)聴覚機能を類似した性能を有する周期信号のパワースペクトル推定法の提案. (2)雑音環境下における音楽の聴こえの主観評価実験と,聴覚フィルタを用いた評価. (3)雑音環境下において人間が音楽を快適に聴くことを可能とする音響信号処理技術の提案 人間の聴覚機能を類似した周期信号のパワースペクトル推定法TANDEMを提案した.スペクトル推定に一般的に用いられる短時間Fourier変換で周期信号を分析すると,分析する時刻に応じて得られるパワースペクトルが異なる問題点があった.一方,人間の聴覚ではそのような位置に依存した成分を知覚しないことからも,周期信号に対する周期性を分離して知覚しているといえる.本研究で提案した推定法により,分析時刻に依存しないパワースペクトルが推定できることを明らかにした.この成果は特許として申請している. 次いで,音響信号と聴覚特性との対応付けを目的とした主観評価実験を行った.実験は,ホワイトノイズと様々な音圧の試験信号とを加算した信号を用いて行い,ホワイトノイズにより試験信号の受聴が妨害される音圧レベル差を調査した.この実験による結果を,最新の聴覚モデルである動的圧縮型ガンマチャープ聴覚フィルタにより分析した.分析結果に基づき,雑音と音楽とを入力とし,雑音により聴こえ難い音楽の成分のみ制御を行う技術を提案した.このシステムは,雑音に妨害される成分のみを制御するため,過度に音圧を増加させることは無い.構築したシステムの有効性を主観評価により検証した結果,音楽の印象を改善できることが明らかとなった.
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