2007 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症の社会認知能力についての認知神経心理学的研究
Project/Area Number |
06J02289
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 真希子 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(PD) (50557444)
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Keywords | empathy / emotion / frontal lobe / social cognition |
Research Abstract |
統合失調症患者の社会認知機能と脳体積減少部位との検討により、前頭葉内側面と扁桃体体積の減少が、社会状況認知能力の低下と情動強度認知の低下に関連していることが見出された。しかし、脳に明確な損傷を持たない統合失調症における社会認知機能障害が、明らかな損傷をもつ脳損傷患者の社会認知機能障害と比較することで、統合失調症の社会認知機能と脳部位の体億関係がより明確になると考え、検討を行った。その結果、統合失調症患者の社会状況から他者の情動を認知する能力は、前頭葉患者の結果と類似して低下していた。しかし、他者の表情から情動の強さを読み取る能力は、統合失調症患者のみで低下を示した。このことから、統合失調症患者の社会認知機能低下の一側面は、前頭葉機能低下から説明付けることができるものの、その他の脳領域の機能障害も関連していることが考えられた。情動強度認知の障害が扁桃体損傷患者で見られることから、前頭葉と扁桃体の両方の影響が考えられ、先に得た統合失調症の能体積減少部位とも対応した結果が得られた。このことを論文にまとめ国際雑誌に投稿し、現在under reviewである。 さらに、社会認知を詳細に検討する目的で、他者に対する共感反応を検討する実験を作成し、事象関連電位を用いて健常者を対象に行った。現在結果解析中である。
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