2006 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスの障害児教育におけるインクルージョン概念の探究
Project/Area Number |
06J02609
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
窪田 知子 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | インクルージョン / インテグレーション / 「分離」 / 特別な教育的ニーズ(SNE) / ホール・スクール・アプローチ / ディスレクシア(読み書き障害) / イギリス / 特別支援教育 |
Research Abstract |
平成18年度当初の研究計画では、インクルージョン概念の定立に向けて、すべての子どもに対する教育的責任を学校全体で負うことと「分離」することとの関係を実践にどのように反映させるかを明らかにすることを主な研究課題としていた。そこで、通常学級の中で「読み書き」の学習に困難を経験しているディスレクシア(Dyslexia)の子どもについて、イギリスにおいて研究と実践の蓄積があることに注目して考察を行った。 今日のディスレクシアの子どもへの教育的対応をめぐっては、通常学校内での対応を充実させるべく、通常学校教育のあり方そのものを問い直そうとするもの(ディスレクシア・フレンドリー・スクール)と、ディスレクシアの子どもを専門的に受け入れる学校の登場に見られるように、専門的な指導に重点を置き、通常学校外でのディスレクシアの子どもへの対応を進めようとするものという異なる2つの方向性がある。本研究では、一見矛盾するように見えるこの2方向の動きについて、インクルージョンを推進しようとする視点からどのようにとらえることができるかについて考察を行った。その結果、両者は必ずしも対立するものではなく、それぞれの取り組みの実態からは、異なるアプローチを採りながらもインクルージョンを追求するという共通の課題に迫ろうとしているものであることを明らかにした。これは、インクルージョンと「分離」の関係が新たな展開を見せ始めていることをわれわれに示唆するものである。この研究成果を『京都大学大学院教育学研究科紀要』(第53巻)に発表した。 さらに、京都市立高倉小学校との共同授業研究では、特殊学級(育成学級)という校内の「分離」した場における児童の学力保障と発達保障のあり方について探究した。また、日本学術振興会の許可を得て大阪府大東市教育委員会の非常勤巡回発達相談員を勤め、本研究の成果を実践していくことのできるフィールド開発を行った。
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Research Products
(7 results)