2008 Fiscal Year Annual Research Report
発生様式の違いをもたらす分子メカニズム:ホヤ種間での比較発生ゲノム科学的解析
Project/Area Number |
06J03239
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
行者 蕗 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 進化 / 無尾種ホヤ / 幼生筋肉 / 遺伝子発現変化 |
Research Abstract |
これまでに当特別研究員が構築・整備した無尾種ホヤ・Molgula tectiformisの約10万リードのEST情報を元に研究を進めた。 この種の初期胚には幼生筋肉の前駆細胞が存在するが、有尾種胚発生過程で見られるような細胞分化はおこらず、結果として機能的な幼生の筋肉が形成されない。今年度は、脊椎動物において筋肉特異的な機能を持つことが報告されているが、これまでホヤ類で解析が殆ど行われていなかった10遺伝子の解析を行った。まずカタユウレイボヤゲノム内から遺伝子の探索を行い、得られた遺伝子の胚発生期における発現解析を行ってそれらがほぼ幼生筋肉特異的に発現していることを見出した。ホヤには幼生筋肉と成体筋肉が存在するが、これらの遺伝子のうち5遺伝子はゲノム内に単一遺伝子のみが存在したため、同一遺伝子が幼生と成体の筋肉両方で用いられている可能性が示唆された。先行研究により、無尾種において幼生筋肉アクチンの偽遺伝子化によりその発現抑制が生じていることが報告されているため、これら5遺伝子に関してはカタユウレイボヤと無尾種ホヤの間で遺伝子組成に違いがある可能性もしくは筋肉関連遺伝子の中でも発現抑制機構は一様ではない可能性が示唆された。また、これらの遺伝子をM.tectiformisのEST内より探索したところ、これらのうち3遺伝子の発現が確認され、特にtropomodulinに関しては胚発生期での発現が認められ、この遺伝子が幼生筋肉で必ずしも発現抑制されてはいない可能性が示唆された。
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