2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜中でのアミロイド線維形成における脂質ラフトの役割の解明
Project/Area Number |
06J03267
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
若林 真樹 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アミロイドβ蛋白質 / 脂質ラフト / ガングリオシド / コレステロール / 神経成長因子 / 細胞毒性 / アミロイド形成阻害剤 |
Research Abstract |
これまでに、アルツハイマー病患者脳に特徴的に現れる老人班の主要構成分子であるアミロイドβタンパク質(Aβ)の凝集・蓄積は、脂質ラフト様リボソーム中でコレステロール濃度依存的に形成されるガングリオシドクラスターによって特異的に引き起こされることを当研究室で明らかにした。また、神経細胞モデルであるPC12細胞膜上においても同様のメカニズムが当てはまることを特別研究員が検証した。今回は、細胞膜上のガングリオシドリッチかつコレステロールリッチな領域とAβの蓄積に関しさらなる解析を行った。 まず、神経成長因子(NGF)によりPC12細胞を神経細胞様に分化誘導したのち、コレステロールリッチな領域をfluorescein-PEG-cholesterolで、ガングリオシドをコレラトキシンの蛍光色素付加体で染色したところ、神経突起先端部や細胞体がガングリオシドかつコレステロールリッチであつた。またAβはその領域に特異的に蓄積した。分化誘導後の細胞へのAβの蓄積量は誘導前の細胞に対するものと比べ顕著に増大したため、分化誘導前後の細胞のガングリオシド、コレステロール含有量を比較したところ、誘導後の細胞でガングリオシド、コレステロール量共に顕著な増大がみられた。またHMG-CoA還元酵素阻害剤によりコレステロール合成を阻害すると、ガングリオシド、コレステロール含有量が共に減少し、Aβの蓄積も抑制された。これによりAβの蓄積がガングリオシド、コレステロール依存的に起こっていることが強く示唆された。 次にAβの細胞毒性に関して評価を行ったところ、NGF分化誘導後の細胞に対し顕著に強い毒性を示し、その毒性はAβがコンゴレッドにより認識されるアミロイド構造を形成した後に発揮されることがわかった。 また、これらの評価系を用いて生細胞膜上でのアミロイド形成、細胞毒性に対する阻害剤のスクリーニングを簡便に行えることを示し報告した。
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