2006 Fiscal Year Annual Research Report
電子と正孔を空間分離した量子ドットによる量子もつれ合い光子対発生の研究
Project/Area Number |
06J04122
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
定 昌史 北海道大学, 電子科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | II-VI族化合物半導体 / 量子ドット / 不純物 / 等電子中心 / 単一光子光源 |
Research Abstract |
今年度はまず,電子と正孔が空間分離していると考えられるZnTe/ZnSe量子ドットを作製し,その光学特性評価を行った。期待通り正孔のみがドット内に閉じこめられた発光を得たものの,発光線幅はドットのサイズ分布を反映して160meVと大きい。 そこで,発光線幅の狭小化と発光波長再現性に優れた発光中心として半導体中の不純物束縛励起子に注目した。通常の不純物はホスト半導体と価数の異なる元素を導入することがほとんどであるが,ZnSeにおいてはSeを同族元素であるTeで置換した等電子中心が効率的な発光中心として機能する。このZnSe : TeはTeドープ量を調節することにより不純物(Te少量)から量子ドット(Te多量)までを1つの半導体内で実現する事が出来るとともに,両者の遷移領域に関する知見が得られる特徴的な系である。 単一Te層をZnSe中に埋め込んだ構造において,Te量を制御することにより発光波長を460nm(等電子中心)〜560nm(量子ドット)まで連続的に選択することに成功した。これらの発光は460nmピーク(Te_2等電子中心),472nmピーク(Te_n等電子中心),500nm〜ピーク(ZnTe量子ドット)に分類される事を明らかにした。とくに,ZnSeTe混晶において従来S2バンドとして報告されていた発光が,Te_n等電子中心発光とZnTe量子ドット発光からなることを突き止めた。これは,混晶内におけるTe組成に分布があり,一部はZnTe量子ドットとして機能していることを意味している。 単一分光にむけた微小加工処理の段階で,等電子中心,量子ドットいずれの試料も発光強度が大きく減少することが現在の課題である。微小加工時のエッチングガスの検討,成長後熱処理による結晶性の改善により発光強度の増大をはかることで単一分光の実現を目指す。
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