2007 Fiscal Year Annual Research Report
免疫制御剤サリドマイドに結合する因子群の細胞内における機能解析
Project/Area Number |
06J05754
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 拓水 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サリドマイド / ケミカルバイオロジー / 分子生物学 |
Research Abstract |
本年度の研究は、前年度の成果に基づき、THIR2(thalidomide interactor 2)の機能解析を行った。まずTHIR2の形成するタンパク質相互作用を解析した。FLAGおよびHAタグを融合させたTHIR2タンパク質を安定的に発現する293T細胞株を組換えレンチウイルスを用いることにより樹立した。そしてFLAG免疫沈降を行うことにより、THIR2と相互作用する因子群を明らかにすることを試みた。結果としてTHIR2はタンパク質分解系に関わる酵素複合体に含まれていることが判明した。THIR2が酵素複合体を形成することが判明したので、次にその活性にサリドマイドが影響するかどうかを検証した。様々な量のサリドマイドを細胞に加え、その破砕液中における反応生成物の量をウェスタンブロッティングにより解析したところ、投与量依存的にその量が低下することが分かった。並行して、サリドマイドがTHIR2の形成するタンパク質間相互作用に影響を与えるかどうかを検証するために、サリドマイドを加えた細胞からFLAG免疫沈降を行ったところ、制御因子Rが解離していることが判明した。申請者は、サリドマイドによる酵素活性の低下は、制御因子RがTHIR2から解離することが関連しているのではないかという仮説を立て、Rの発現をRNAiによりノックダウンした際に同様の酵素活性の低下がみられるかを解析した。RにおけるsiRNAオリゴヌクレオチドを用意し、細胞内におけるRの発現を抑制し、その上で酵素活性を評価したところ、酵素活性が抑制されていることを確認した。以上により、サリドマイドはTHIR2に結合し、制御因子Rを解離させることによりその酵素活性を阻害することを示唆する新規で興味深い知見を得ることに成功した。
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Research Products
(1 results)