2006 Fiscal Year Annual Research Report
長基線ニュートリノ振動実験OPERAにおけるνμ→ντ振動のντ直接観測
Project/Area Number |
06J06458
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
有賀 昭貴 名古屋大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 素粒子 / ニュートリノ / ニュートリノ振動 / アピアランス / OPERA / Changeable Sheet / ECC / τ |
Research Abstract |
2006年中、研究代表者はイタリア、グランサッソ国立研究所にてOPERA実験の検出器の一つChangeable Sheet(エマルジョン検出器)の生産Facility立ち上げと生産を行った。OPERAでは同検出器20万個を以って実験を行い、Facilityとしては一日に1000個の生産を目標としていた。このFacilityは名古屋大学、ローマ大学の共同研究者らにて設計建設され、2006年6月より日本、トルコ、ロシアの共同研究者らにて運転を開始した。さまざまな問題を乗り越え、2006年11月には1000個/日のスピードを達成し、12月には最高生産速度1700個/日を達成した。これはイタリアが担当する部分が100個/日程度しか達成できていなかった当時の現状に比べ、日本の技術力と実行力を示すものと成った。2006年の生産は2万4000個、全体の12%の生産を以って終了した。 また、2006年中に行われたCERNからのニュートリノ照射8月と10月の2回に分けて行われそれぞれ7.6x10^<17>,0.6x10^<17>potの照射が行われた。(OPERA nominal intensity=4.5x10^<19>pot/year). 8月の照射では、生産したChangeable SheetをOPERA検出器フレーム内に設置し、〜10例のニュートリノ反応起因の粒子の飛跡を捉えた。これにより、エレクトリックな検出器からエマルジョン検出器までの全体的なリハーサルが実現し、OPERAの解析の流れの中で最も難しいエレクトリック検出器とエマルジョン検出器のつなぎが妥当な効率で機能することが確認された。この結果はOPERA実験初のコラボレーションペーパーとしてNJPへパブリッシュされた。 10月の照射ではわずかなビームと主検出器ながら、1eventのニュートリノ反応起因のミューオンが観測され、エレクトリック検出器よりChangeable Sheetへ、さらに主検出器へと解析が進めることを確認した。また主検出器中で測られたミューオンの運動量は、後方のマグネットミューオンスペクトロメータにて測られた運動量と精致し、双方が正常に機能していることを確認した。 現在、OPERA実験を遂行するための鍵は主検出器の生産であり、コラボレーション全体でこれをトッププライオリティーに置き、取り組んでいる。
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Research Products
(2 results)