2006 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレスを起源とする神経変性疾患の治療薬の開発
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06J07899
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
金本 聡自 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経変性疾患 / 小胞体ストレス / 小胞体分子シャペロン / 神経細胞死 |
Research Abstract |
本研究はアルツハイマー病を始めとする神経変性疾患の治療薬開発を目指して進めている。神経変性疾患の発症原因の一つとして、細胞内で起こる小胞体ストレスが起源となることが報告されている。これは、小胞体ストレスが起こらなければ、神経変性疾患の発症を防げる可能性を示唆している。そこで、小胞体ストレスを軽減させる作用を持つ小胞体分子シャペロンタンパク・BiPを、特異的に発現誘導させることのできる化合物を探索し、その同定に成功した。次に、BiPを人為的に発現できる化合物(以下、BIXと呼ぶ)を用いた半定量的RT・PCRおよびウェスタンブロット解析により、神経細胞におけるBiPの発現誘導を確認した。また、BIXで処理した細胞は小胞体ストレスを起こしていないことをRT-PCR解析により確認した。さらに、神経細胞に対しBIXを処理し、経時的なBiP mRNA量の変化を調べたところ、処理後6時間をピークとして一過的にmRNAを増加させることが分かった。続いて、神経細胞におけるBIXによるBiPの発現誘導メカニズムを調べるために、BiPのプロモーター領域を用いたプロモーターアッセイを行った。その結果、BiPプロモーター領域中に存在するERSEと呼ばれる配列を介してBIXがBiPの発現誘導を調節していることが分かった。次に、BIXが細胞保護効果を有するか調べるために、神経細胞を用いてヘキスト染色による細胞死アッセイを行った。小胞体ストレスを惹起する薬剤であるツニカマイシンを神経細胞に処理すると、細胞は36時間以内に細胞死を引き起こした。一方、神経細胞に対しBIXで予め処理しておくとツニカマイシン誘導性の細胞死が有意に減少した。以上のことから、BIXがBiPを発現誘導することで小胞体ストレスを軽減し、細胞に対して保護効果を持つことが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] BBF2H7, a novel transmembrane bZIP transcription factor, is a new type of ER stress transducer.
Author(s)
Kondo S, Saito A, Hino S-I, Murakami T, Ogata M, Kanemoto S, Nara S, Yamashita A, Yoshinaga K, Hara H, Imaizumi K
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Journal Title
Molecular and Cellular Biology (In press)