2006 Fiscal Year Annual Research Report
リチウム窒素系水素貯蔵材料の水素吸蔵放出機構の解明
Project/Area Number |
06J08320
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
礒部 繁人 広島大学, 先進機能物質研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 水素貯蔵物質 / 触媒作用 / XAFS |
Research Abstract |
水素エネルギー社会の実現を目指して、燃料電池用の水素貯蔵物質の研究が急がれている。数ある貯蔵物質の候補のうち、現在最も有望視されている物質としてM-N-H系物質(M=Li,Nh,Mg,Ca)がある。この物質群は、左記アルカリ金属およびアルカリ土類金属のアミドと水素化物の複合体により構成されており、金属原子(M)、窒素原子(N)および水素原子(H)にて系が特徴付けられるために、M-N-H系物質と総称されている。この系は、軽元素で構成されている為、重量あたりの水素含有量が非常に大きい反面、水素化脱水素化反応速度が遅い。そこで、反応速度改善を目的として触媒処理が施される。実際、Li-N-H系物質において、Ti系触媒をメカニカルミリング法により混合処理した試料の水素放出特性は劇的に改善される。我々は、触媒機構解明の第一歩として添加物の化学状態同定を実現するため、SPring-8での高輝度放射光により、XAFS法でLi-N-H系水素貯蔵物質中の添加物の化学状態分析を行ってきた。得られた情報は、触媒作用を示すTiの電子状態が一意的であるということ、その一意性が局所構造には見られないこと、である。すなわち、XAFSスペクトルの吸収端近傍領域(XANES)には共通性が観測されたが、広域(EXAFS)をフーリエ変化して得られる動径分布関数(RDF)は相違していたという結果である。次に、その一意性の要因を探った。LiNH_2とTi系触媒をミリング処理することで、その触媒活性な状態が発現するという知見が得られた。LiNH_2は本系において「アンモニア供給源としての役割」を担う。これは、アンモニアとTiの化合物が生成されている可能性を示唆する。
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