2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミオシン5のATP加水分解と変位発生を同時に計測することで運動モデル構築を行う
Project/Area Number |
06J09197
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小森 智貴 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | モータータンパク質 / ミオシン / ATP加水分解 / 一分子計測 / 同時計測 |
Research Abstract |
ミオシンに代表されるモータータンパク質はATP加水分解の化学エネルギーをアクチンフィラメント上における変位発生という力学エネルギーに変換する。近年、盛んに研究が行われているミオシンの一種であるミオシン5はアクチンフィラメント上で連続した変位を生み出すプロセッシブ運動と呼ばれる運動を示す。国内外の様々な研究グループによりプロセッシブ運動に関して様々な運動モデルが提唱されている。しかしながらこれら全てはミオシン5の変位発生にのみ基づいて提唱された運動モデルであるために、ミオシン5のプロセッシブ運動に伴うATP加水分解サイクルと変位発生の対応関係は依然として不明瞭なままである。そこで私はミオシン5のATP加水分解サイクルと変位発生を同時に計測することによりATP加水分解サイクルという新たな視点に基づいてミオシン5の運動モデル構築を目指した。平成18年度,19年度の研究においてはまずミオシン5のATP加水分解サイクルと変位発生を同時に計測するために必要な計測系の構築を行い、その詳細はBiosystems誌(Vol.93,pp.48-57)に本年度紙面発表した。また実際に、これまでの研究により構築した計測系を用いて、ATP加水分解サイクルと変位発生の対応関係の同時計測を行い、力発生後に時間遅れを伴い加水分解されたADPがミオシンから放出されることを世界で初めて直接明らかにした(Biophys.J.Vol.96,L04-06)。 本研究により得られた研究成果は、ミオシン5のプロセッシブ運動の機構を良く説明するものであり、プロセッシブ運動機構の解明に大きな貢献を果たした。
|