2006 Fiscal Year Annual Research Report
がん治療への応用を目指したDNA内電荷分離を介した光増感DNA酸化損傷機構の解明
Project/Area Number |
06J09217
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小阪田 泰子 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNA / 光化学 / 電荷移動 / 光増感 / 酸化損傷 / レーザーフラッシュホトリシス / HPLC / ナノワイヤー |
Research Abstract |
DNAビルディングブロックによりプログラムされたDNAナノスケール集合体中での電荷移動 近年、数多くのナノスケールのDNA集合体が構築されてきたが、そのナノスケール集合体中での光誘起電荷移動に関する研究はほとんど行われていない。これまでに我々は、光増感剤ナフタルイミド(NI)がアデニン(A)連続配列に結合したDNAでは、レーザー励起により生成した電荷がA間の移動を経てG^<'+>が生成し、引き続き起こるG間の電荷移動を、時間分解過渡吸収法を用いて、もう片方の末端に配置したフェノチアジンのラジカルカチオン(PTZ^<'+>)の生成より直接観測可能であることを報告した。今後、このG間の電荷移動過程が、より高速に起こる配列やDNAナノ集合体においても進行するかについて調べることが出来れば、DNAナノワイヤー作成への指針が得られると考えられる。そこで、本研究では、ホールアクセプターであるフェノチアジン(PTZ)や光増感剤NIを修飾したDNAの合成を行い、Gとシトシン(C)の連続した配列におけるG上を電荷が移動する過程を、PTZ^<'+>の生成する速度を直接観測することで、詳細に調べた。GC連続配列では、高速な電荷移動が起こることを明らかにした。さらに、GC連続配列を有するDNAナノ集合体におけるDNAナノブロック内、およびDNAナノブロック同士の接続部分の電二荷移動を明らかにすることに成功した。 光増感DNA酸化損傷機構の解明 これまでに我々は、電荷移動の直接観測とHPLCによるDNA損傷量の定量を組み合わせることで、DNA内電荷移動とDNA損傷との関係について検討してきた。本研究では、光増感DNA損傷において、光増感剤のラジカルアニオンと酸素との反応が非常に重要であることがわかった。
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