2006 Fiscal Year Annual Research Report
概日リズム朝夕2つの活動ピークを形成する時計タンパク質PERIOD変異体
Project/Area Number |
06J09514
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武田 行正 九州大学, 大学院理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 概日リズム / ショウジョウバエ / 時計遺伝子 / PERIODタンパク質 / 生物時計 |
Research Abstract |
ショウジョウバエは、一日のうちで朝方と夕方の2回、活動ピーク時期をもつ。ショウジョウバエ脳において、概日時計を司るニューロン群のうち、腹側小ニューロンs-LNvと背側ニューロンLNdが、この朝方と夕方の行動リズムをそれぞれ独立に制御していることが報告されている。本年度は、申請した計画書に従い、これら2種類のニューロン群に時計遺伝子periodのアイソフォームがそれぞれ個別に発現しているかどうか、またこれらアイソフォームは概日リズムを違えて発現しているのかどうかについて研究を行った。 まず、朝方と夕方に発現ピークを示すアイソフォームが、朝夕の活動リズムを示すニューロンにそれぞれ発現しているかを同定するため、PERIODのC端における選択的スプライシング部位(#1:70塩基)の挿入型アイソフォームに特異的な抗原ペプチドを合成し、モノクローナル抗体の作製を行った。細胞融合法により、10種類ものPERIODアイソフォーム特異的新規モノクローナル抗体を産生するマウスハイブリドーマの作製に成功した。現在これらの抗体を用いて免疫染色を行い、最も良い条件を検討中である。 次に、上記ショウジョウバエPERIODのC端における選択的スプライシングが、カイコガの時と同じように異なる発現リズムを持ってアイソフォームを生じるか調べるため、そのmRNAおよびタンパク質の発現リスムを、2時間置きのショウジョウバエ頭部サンプルに対し定量的リアルタイムPCRおよびウエスタンブロッティングの手法を用いて解析した。その結果、これまで知られていた夕方から夜にかけてのピークを持った発現リズムとは、明確に異なる発現リズムが検出された。このアイソフォームmRNAおよびタンパク質は朝方にも多く発現しており、このことは朝夕の活動ピークをPERIODが作り分ける証拠を示す上で極めて重要な発見である。
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