2006 Fiscal Year Annual Research Report
保型群のある種の部分群における極限的保型形式の零点の配置とリーマン仮説の類似
Project/Area Number |
06J09705
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野崎 寛 九州大学, 大学院数理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 保型形式 / アイゼンシュタイン級数 |
Research Abstract |
モジュラー群SL(2,II)の様々な部分群における保型形式の、ある自然の基本領域上の零点について、コンピューターにおける数値計算を行った。特に尖点の1つの無限遠点∞についてのEisenstein級数については、ある基本領域をとることで、その零点がすべて境界の円周上にあることが計算できた。また保型形式の一種であるextremal modular formについては、大部分がEisenstein級数と同じ円周上にあるが、ある一定の割合で円周上にない零点が現れることが計算できた。モジュラー群SL(2,II)のEisenstein級数の零点の配置をさらに詳しく見ていくなかで、ウエイトkのEisenstein級数の零点がウエイトk+12のEisenstein級数の継続する零点の間にちょうど一つずつ存在していることに気付いた。この零点の関係をinterlacementと呼ぶ。さらに、その事実を理論的に証明することが出来た。ウエイトが12増えるところでの関係はSL(2,II)の保型形式がウエイト4とウエイト6のEisenstein級数から生成できる事実から考えると、非常に自然である。この様な零点の関係は直交多項式を除いては非常に珍しい。Eisenstein級数を直交多項式に変換する方法は知られておらず、直交多項式に変換できない珍しい例である。この関係は他の部分群におけるEisenstein級数でも観察されている。SL(2,II)のEisenstein級数の零点がinterlacementの関係を持つことが理論的に証明できたことは、Eisenstein級数を初めとする円周上に零点を持つ保型形式の零点の配置を理論的に証明するために、interlacementを考えることが自然であることを示唆している。
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