2007 Fiscal Year Annual Research Report
準球座標系差分法を用いた波形インバージョンによる地球内核の内部不均質構造の推定
Project/Area Number |
06J09712
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
豊国 源知 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 地震学 / 地震波 / 数値計算 / 差分法 / グローバルモデリング / 内核 / 実効差分格子パラメータ / 標準地球モデル |
Research Abstract |
本年度は、球座標系での差分スキームに「実効差分格子パラメータ」を導入することを目的として研究を行った。研究の過程で、代表的な4つの標準地球モデル(PREM, IASP91, SP6, AK135)について、簡単に解析的な「実効差分格子パラメータ」が計算できる汎用的なソフト(Fortranサブルーチン)を開発し、公開した。 通常の差分法では、差分格子上ではない任意の場所に構造(密度や弾性定数)の不連続が存在する場合、その影響を正しく考慮することができない。この問題は、差分格子内で密度については積分算術平均を、弾性定数については積分調合平均を計算し、この値を新たな格子パラメータ(=「実効差分格子パラメータ」)として用いれば回避できることが知られている。 一方、地球内部の平均的な構造を与えるモデルとして、多くの標準地球モデルが公開されている。標準地球モデルは地球内部の密度や地震波速度構造を動径方向のみの関数として表した球対称なモデルで、グローバルな地震波形計算で頻繁に利用されている。代表的な標準地球モデルはPREM,IASP91, SP6, AK135の4つのモデルであるが、これらはすべて密度や地震波速度構造を、規格化した地球動径の多項式の形で書くことができるという共通点を持つ。 通常、実効差分格子パラメータの計算で必要な積分は数値積分により計算されるが、本研究では4つの標準地球モデルの多項式の形を利用し、積分を解析的に計算する手法を考案した。この手法は球座標系によるグローバルな計算だけでなく、4つの標準地球モデルを用いるあらゆる差分計算で汎用的に利用可能なものであるため、公開を目的としてFortranサブルーチンの形でコードを作成した。本成果は日本地震学会2007年度秋季大会、およびAGU 2007 Fall Meetingで発表し、6名のテスト利用者にコードを配布した。またコードも掲載できる国際誌、Computers & Geosciencesに成果を投稿した。本稿は現在リバイスを終え、Waiting Decisionの状態にある。
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