2008 Fiscal Year Annual Research Report
準球座標系差分法を用いた波形インバージョンによる地球内核の内部不均質構造の推定
Project/Area Number |
06J09712
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
豊国 源知 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 地震学 / 地震波 / 数値計算 / 差分法 / グローバルモデリング / 内核 / 非弾性減衰 / 特異点問題 |
Research Abstract |
本年度は、球座標系での差分スキームに媒質の非弾性減衰の効果を導入した。また補間を用いて地球中心を通過する波を安定に計算するスキームを開発し、現実的な任意の不均質構造、非対称震源、非弾性減衰の効果を考慮した全地球構造断面上での地震波動場計算プログラムがひと通り完成した。 観測される地震波は媒質の非弾性の影響で減衰している(=非弾性減衰)ため、現実的な地震波の計算には非弾性の考慮が不可欠である。媒質の非弾性は、粘弾性体の構成方程式によってモデル化できる。しかしこの方程式は、時間領域では畳み込み積分で表されることから、時間解法である差分法での粘弾性の取り扱いは難しく、1980年代後半にメモリー変数が導入されて以来、デカルト座標系での計算で徐々に実用化されてきた。本研究ではメモリー変数を用いて、球座標系での差分計算に初めて非弾性減衰を導入した。 また地球中心(r=0)は球座標系での支配方程式の特異点であるため、地球中心を通過してくる波をモデリングするためには、特異点問題を回避するスキームの導入が必要である。これまで中心付近のみデカルト座標系や円筒座標系での支配方程式を解き、座標変換で球座標系での値に引きなおすスキームを用いていたが、結果が計算に使うパラメータに大きく依存し、設定によっては発散する場合も見られた。本年度は地球中心での物理量を補間で与えることでスキームを開発し、パラメータ設定によらず安定に解けることを確認した。
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