2007 Fiscal Year Annual Research Report
糖脂質受容体に着目した有用魚種のプロバイオティクスとアンチバイオティクスの研究
Project/Area Number |
06J09743
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
苣田 慎一 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1) (90639791)
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / GM4 / 魚病 / 合成酵素 |
Research Abstract |
1,(1)V. harveyi(V. trachuri)のGM4結合タンパク質の単離、同定、クローニングおよび、遺伝子変異株の作成 マダイ腸から単離したV. harveyiからGM4(NeuAcα2,3Gal-Cer)結合タンパク質候補を抽出後、GM4との親和性を利用して候補タンパク質を選別した。それらのタンパク質のうち、約15kDaのタンパク質のN末端アミノ酸配列がMSHA(mannnose sensitive hemagglutinin)と一致した。以後、V. harveyiゲノムデータベースよりMSHAを含むtype IV線毛をGM4結合タンパク質候補としてクローニングをはじめた。現在、当研究室大学院生 阪ロ太らと2つのGM4結合タンパク質候補のクローニングを終了しており、一つはGM4吸着赤血球を凝集することを確認した。これについては、さらに活性を確認するためRI標識した形質転換株をTLC-overlay assayを行う必要がある。 (2)魚病菌の糖脂質受容体GM4の合成酵素遺伝子のクローニング及び組織での発現 本実験は、申請書年次計画に記載していなかったが、以下の必要性のため新たに行った。魚細胞を用いた感染実験を行う際に、人為的にGM4発現株を作成したい。また、実験開始時点でGM4合成酵素のクローニングが行われた例はないが、ゼブラフィッシュの腸管から脂質を抽出し、TLC上で抗GM4抗体を作用させた結果、GM4を含むことが判明した。ゼブラフィッシュはゲノムデータベースが完備されているので、引き続きゼブラフィッシュをモデル動物として、以後のクローニングを行った。本研究室ではゼブラフィッシュからGM3合成酵素(A)のクローニングを終了していた。Aのアミノ酸配列をもとに分子系統樹を作成し、GM4合成酵素候補(B)を選別した。Bをクローニング後、ハムスターメラノーマ細胞で過剰発現し、細胞破砕液を酵素液とした。ドナー基質としてCMP-[14C]NeuAc、アクセプター基質としてGalCerを用いたところ、BはGM4を合成した。:学会誌等への発表2、学会発表番号1、2。A、BのRNAプローブとゼブラフィッシュ24時間胚と5日胚を用いて、whole mount in situ hybridizationを行った。その結果、Bは原腎管と消化管に発現していた。一方、Aは脳と食道に特異的に発現していた。以上の結果から、魚病菌の腸内受容体GM4は、主としてゼブラフィッシュGM4合成酵素により合成されていることが推測された。
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